ハナウド属

ハナウド属 (Heracleum)

ハナウド属は、セリ科に分類される植物のグループです。学名はHeracleumといい、日本においては「花独活属」という漢字表記が用いられます。

特徴

ハナウド属の植物は、越年草または多年草であり、生涯に一度だけ花を咲かせて種子を作る一稔性草本です。根と茎は太く、茎の内部は空洞になっています。葉は3出葉または羽状複葉で、一般的に厚みはありません。花は大きな複散形花序を形成し、茎の先端に咲く花は両性花で結実しますが、側面に咲く花は雄性花であることが多く、結実しません。花弁は通常白色で、花序の外側の花弁は特に大きく、先端が2つに深く裂けています。果実は平たい形をしており、油管は分果の途中で途切れています。分果の表面側の各背溝の下には1つの油管があり、分果が接し合う合生面には2つの油管があります。

分布

ハナウド属は、ユーラシア大陸、北アメリカ、北アフリカといった広範囲に分布しており、約70種が確認されています。一部の種は薬草やスパイスとして利用されていますが、コーカサス地方原産のジャイアント・ホグウィード (H. mantegazzianum) は、その樹液が皮膚に触れると重篤な光線過敏症を引き起こすことで知られており、注意が必要です。日本国内には、以下の種が分布しています。

日本の種

ハナウド (Heracleum sphondylium L. var. nipponicum (Kitag.) H.Ohba):
本州の関東地方以西、四国、九州に分布。
ツルギハナウド (Heracleum sphondylium L. var. turugisanense (Honda) H.Ohba):
四国の剣山などの高山に分布。環境省により絶滅危惧II類(VU)に指定されています。
オオハナウド (Heracleum lanatum Michx. var. lanatum):
北海道、本州の近畿地方以北に分布。
ホソバハナウド (Heracleum lanatum Michx. subsp. akasimontanum (Koidz.) Kitam.):
南アルプスに特産。環境省により絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。

注意点

ハナウド属の植物には、光毒性物質を含むものが存在します。特にジャイアント・ホグウィードのように、重篤な皮膚炎を引き起こす種もあるため、安易に触れないように注意が必要です。野外で見かけた場合は、むやみに触らず、専門家の指示に従ってください。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』（1982年）平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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