ハニークリスプ

ハニークリスプ：甘さと食感が魅力のリンゴ

ハニークリスプは、ミネソタ大学ツインシティー校で生まれたリンゴの品種です。1974年に「MN1711」という試験名で開発が始まり、1988年に特許を取得、1991年に一般公開されました。当初は廃棄される予定でしたが、その独特の甘さ、しっかりとした果肉、そして爽やかな酸味が評価され、生食用リンゴとして瞬く間に人気を集め、商業的に重要な品種となりました。

ハニークリスプの特徴

ハニークリスプの最大の特徴は、その食感と味のバランスです。開発者は「栽培や輸送の容易さではなく、サクサクとした食感と甘味、酸味の調和を追求した」と語っています。他のリンゴ品種と比較して細胞数が多く、噛んだ時に多くの果汁が口の中に広がるため、ジューシーさを強く感じられます。また、色素を保持する能力が高く、適切な環境で保存すれば比較的長い期間、美味しさを保つことができます。

1997年にペピンハイツ果樹園が初めてハニークリスプを食料品店に出荷しました。品種名はミネソタ大学の登録商標ですが、大学当局は商標の保護状況について明確にしていませんでした。現在、ハニークリスプはミネソタ州の公式な州の果物に指定されています。

米国リンゴ協会(US Apple Association)の推計によると、ハニークリスプはアメリカで5番目に多く栽培されているリンゴであり、2020年までには3番目に躍進すると予測されていました。

品種改良の経緯

ハニークリスプは、当初マカウンとハニーゴールドの交配によって生まれたとされていました。しかし、2004年のDNA鑑定の結果、実際にはキープセイク（マリンダとノーザンスパイの交配品種）が片方の親であることが判明しました。さらに2017年には、もう片方の親が未公開のミネソタ大学のMN1627（オルデンブルク公爵夫人とゴールデンデリシャスの交配種）であることが特定されました。

ハニークリスプの米国植物特許は2008年に失効しましたが、一部の国では2031年まで特許による保護が継続されます。特許料は2011年までに1000万ドルに達し、ミネソタ大学によって発明者、研究を指導した大学、そして他の研究のための基金に分配されました。

ミネソタ大学はハニークリスプをミネワシュタ（ゼスター）と交配させ、Minneiska（スウィータンゴ）という新しい品種も開発しています。

栽培のポイント

ハニークリスプは自家不和合性のため、実を結ぶには別の品種を受粉樹として近くに植える必要があります。ほとんどのリンゴまたはクラブアップル（ズミ）の品種が受粉樹として適しています。種から育てた場合、ハニークリスプの特徴は受け継がれず、交配品種となります。

若い木では大きくて色の良い果実が実りますが、成長した木では果実の密度が高くなり、サイズや色味が低下する傾向があります。摘花や摘果によって果実の密度を調整することで、品質を向上させることができます。また、果肉の硬さは一般的に密度が低い方が優れています。ハニークリスプはビターピットの影響を受けやすく、収穫量の約23%が影響を受けることがあります。

ハニークリスプは、その独特の風味と食感で多くの人々を魅了し続けています。栽培には注意が必要ですが、その美味しさは格別です。

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