ハプログループM7 (mtDNA)

ハプログループM7 (mtDNA) について

ハプログループM7は、分子人類学において、ミトコンドリアDNA（mtDNA）のハプログループ（型集団）の一つとして分類されるグループです。ハプログループMの子系統であり、人類の移動と拡散の歴史を解き明かす上で重要な役割を果たしています。

起源

M7は、ハプログループMから分岐したグループで、その起源はシベリア南部から極東地域にかけてのエリアであると考えられています。この地域で発生した後、さまざまな系統に分化し、東アジア各地に広がっていったと考えられています。

下位系統と分布

M7は、さらに多くの下位系統に分類されます。主な下位系統とその分布は以下の通りです。

ハプログループM7a
日本人の約7.6%がこの系統に属しています。特に沖縄では約23%と高い割合で見られます。本州では約7%、北海道アイヌでは約16%の頻度で検出されています。また、縄文人の人骨からも検出されており、日本列島におけるこの系統の古さを示唆しています。
日本列島以外では、沿海州や朝鮮半島にもごくわずかに見られます。
ハプログループM7b および ハプログループM7c
* これらの系統は、ベトナム、ラオス、タイなどの東南アジアや、中国大陸南部で多く検出されます。これらの地域への人類の拡散と定着の歴史を反映していると考えられます。

系統樹

以下は、マニス・バン・オーブンとマンフレッド・カイザーの研究に基づくM7の系統樹です。


M7
├── M7a
│ ├── M7a1
│ │ ├── M7a1a
│ │ │ ├── M7a1a1
│ │ │ │ └── M7a1a1a
│ │ │ ├── M7a1a2
│ │ │ ├── M7a1a3
│ │ │ ├── M7a1a4
│ │ │ │ └── M7a1a4a
│ │ │ ├── M7a1a5
│ │ │ ├── M7a1a6
│ │ │ └── M7a1a7
│ │ └── M7a1b
│ │
│ ├── M7a2
│ │ ├── M7a2a
│ │ └── M7a2b
│ │
│ └── M7b'c'd'e
│ ├── M7b'd
│ │ └── M7b
│ │ ├── M7b1'2
│ │ │ ├── M7b1
│ │ │ └── M7b2
│ │ │ ├── M7b2a
│ │ │ ├── M7b2b
│ │ │ └── M7b2c
│ │ └── M7b3
│ │ ├── M7b3a
│ │ └──
│ └── M7d
│
│ └── M7c'e
│ ├── M7c
│ │ ├── M7c1
│ │ │ ├── M7c1a
│ │ │ ├── M7c1b
│ │ │ │ └── M7c1b1
│ │ │ └── M7c2
│ │ │ ├── M7c2a
│ │ │ └──
│ │ └── M7c3
│ │ ├── M7c3a
│ │ ├── M7c3b
│ │ └── M7c3c
│ └── M7e


この系統樹は、M7の多様性と複雑さを表しており、これらの系統の分布を詳しく調べることで、人類の移動の経路や、特定の地域における人口動態を理解する手がかりとなります。

まとめ

ハプログループM7は、ミトコンドリアDNAの系統解析を通じて、人類の起源と移動の歴史を研究する上で重要な情報を提供しています。特に、東アジアにおけるM7の多様な下位系統の分布は、この地域における人類の移動と定着の複雑なパターンを反映しています。今後の研究によって、より詳細な人類史の解明が期待されます。

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