ハプログループM7a (mtDNA)

ハプログループM7a (mtDNA) について

ハプログループM7aは、分子人類学において、ミトコンドリアDNA（mtDNA）のハプログループ（遺伝子型集団）を分類する際に用いられる名称です。ハプログループMを祖先とし、そこから派生したハプログループM7からさらに分岐した系統に属します。

起源

ハプログループM7aの起源については、複数の説が存在します。一つは、約4万年以上前に誕生したアジア最大の母系グループである「M」型から分岐したM7から、約2万5000年前に「スンダランド」で誕生し、北上して日本列島に到達したとする説です。一方、シベリア南部から極東地域で発生したとする説も存在します。このように、起源についてはまだ議論の余地があるものの、いずれの説もハプログループM7aが比較的古い時代に形成された遺伝子系統であることを示唆しています。

古人骨

ハプログループM7aは、日本の古い人骨からも検出されています。特に注目されるのは、沖縄県石垣島の白保竿根田原洞穴遺跡から発掘された旧石器時代の人骨です。国立科学博物館による分析の結果、国内最古の人骨とされる約2万年から1万年前の人骨4体のうち2体が、このハプログループM7aに属することが明らかになりました。この発見は、ハプログループM7aが日本列島に古くから存在していたことを強く示唆するものです。

分布

ハプログループM7aは、現代の日本人において比較的高い頻度で確認されています。日本人の約7.6%がこの型に属しており、特に沖縄県では26%と高い割合を占めています。また、本州では約7%、北海道アイヌでは16%と、地域によって分布に偏りが見られます。さらに、縄文人の人骨からもこのハプログループが検出されており、古代から日本列島に定着していた系統であることがわかります。また、ごくわずかですが、韓国人にも3%弱の割合で確認されており、これは日本から移住した人々の子孫であると考えられています。

系統樹

ハプログループM7のサブクレード（下位系統）の系統樹は、マニス・バン・オーブンとマンフレッド・カイザーの研究論文に基づいています。以下にその系統構造を示します。

M7
M7a
M7a1
M7a1a
M7a1a1
M7a1a1a
M7a1a2
M7a1a3
M7a1a4
M7a1a4a
M7a1a5
M7a1a6
M7a1a7
M7a1b
M7a2
M7a2a
* M7a2b

この系統樹は、ハプログループM7aがさらに細かく分類されることを示しており、それぞれのサブグループが異なる歴史的背景を持つ可能性を示唆しています。今後の研究によって、より詳細な分布や起源、移動の歴史が解明されることが期待されます。

まとめ

ハプログループM7aは、ミトコンドリアDNAの分析を通じて、人類の移動や歴史を解明する上で重要な情報を提供してくれる遺伝子系統です。特に日本列島における分布と、縄文人や旧石器時代の人骨からの検出は、このハプログループが日本人の祖先集団に深く関わっていたことを示唆しています。今後の研究によって、さらに詳しい歴史が解明されることが期待されます。

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