ハミの虐殺

ハミの虐殺

ハミの虐殺（ハミのぎゃくさつ）は、1968年2月25日、ベトナム戦争の最中に起こった悲劇的な事件です。この事件では、大韓民国海兵隊によって、南ベトナムのクアンナム省ハミ村に住む非武装の民間人が無差別に攻撃され、135人が命を落としました。この虐殺は、戦争の混乱の中で多くの無辜の市民が苦しめられた一例として今も語り継がれています。

事件の経緯

ハミ村での虐殺前の1968年2月12日、韓国海兵隊第2海兵旅団、通称青龍部隊は、フォンニィ・フォンニャット村で民間人虐殺事件を引き起こし、これがアメリカ軍や南ベトナム軍にすぐに発覚しました。それからわずか13日後、同じく南ベトナムのクアンナム省で再び起こった悲劇がハミ村での135人の民間人の命奪うものでした。攻撃の手口は残忍で、村民を広場に集めた上で一斉射撃を行ったり、手榴弾を投げつけたりするというものでした。

この事件に対するアメリカ軍の内部では、韓国軍の役割に関する議論が起こりました。彼らは、韓国軍を安全な後方部隊として指定するか、ベトコンの支配が強い地域に配置を転換することが必要であるとの意見が出ていました。このような対応は、韓国軍の行動についての国際社会からの信頼を損なう要因ともなりました。

記念碑と碑文の問題

1980年代以降、ベトナムではドイモイ政策の実施後、戦争中の虐殺に関する記念碑が各地に建立されました。1999年9月には、韓国軍青龍部隊の退役兵がハミ村を訪れ、記念碑建設のための寄付を申し出ます。2000年11月に完成した大理石製の記念碑には、当初、村民による虐殺に関する碑文が刻まれていました。

しかし、韓国政府がこの碑文の修正を要求したため、村民との間で対立が生じました。村民は、「我々の歴史への干渉は受け入れられない」と反発しました。韓国政府は外交ルートを通じて圧力をかけましたが、村民はそれに抵抗し続けた結果、最終的に碑文の全面削除を決定し、代わりに蓮の絵の石板を上に重ねることにしました。この行動は、歴史を歪曲するよりも無記録の方がましであるとの考えからのものでした。

市民平和法廷

時が経つにつれて、韓国国内での意識も変化しました。2018年4月、韓国内の弁護士団体やベトナム友好団体が主体となり、ハミの虐殺に関する模擬法廷である市民平和法廷が開かれました。この法廷では、ハミの虐殺の生存者が原告として政策的な責任の追及を行い、判決としては「重大な人権侵害であり、戦争犯罪の性格を帯びる事件」として韓国政府の責任が明確にされたのです。

おわりに

ハミの虐殺は、忘れられることのない悲劇であり、加害者や被害者の双方の歴史に深く影を落としています。この事件は、現在に至るまでその影響を色濃く残しており、社会のあらゆるところでその教訓が問われています。また、歴史の記録や記憶の重要性について考え直す機会を提供していると言えるでしょう。

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