ハラダハウス

ハラダハウスについて

ハラダハウス（英語: Harada House）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州リバーサイドに所在する歴史的な建物であり、国定歴史建造物に認定されています。この家は、日系人公民権運動の象徴的な場所として知られており、日本人移民の家族が直面した困難と、その中での闘争の歴史を物語っています。

日本人移民と家屋の購入

1880年代後半に愛知県から日本を出発した原田重吉は、1905年に妻と子供と共にカリフォルニア州リバーサイドに移り住みました。当初は困難な生活を強いられながらも、彼は下宿屋兼レストラン「ワシントン」を経営し、生計を立てました。しかし、日本人移民として、アメリカの市民権を持たない重吉は、土地や家屋を購入することが法律によって妨げられていました。

それでも、重吉は自身の子供たちがアメリカ市民権を持っていたことを利用し、1915年12月に3356レモン通りに新居を購入しました。この購入は、アメリカにおける先駆的な試みとなりましたが、周囲の白人住民からの反発を招くことになりました。

近隣住民との衝突

原田家が新しい家を手に入れると、近隣の白人住民たちは彼らに圧力をかけ、土地の放棄を求めました。市や州の政府も外国人土地法を適用し、重吉の子供たちにまで土地所有権が認められないと主張しました。彼らは、退去することと引き換えに金銭を提案しましたが、重吉は決して引き下がることはありませんでした。「私は売らない。殺されても、海に投げ込まれたとしても、家は絶対に売らない」と強い意志を示し、1916年に裁判を起こしました。

この裁判は「カリフォルニア州住民対原田重吉事件」として知られるようになり、日米間の外交や市民権の権利について重要な議論が展開されました。

判決とその影響

1918年の判決では、ヒュー・クレイグ判事は、重吉の主張を認める一方で、外国人土地法自身は支持する判断を下しました。子供たちの市民権保護が認められたことから、原田家は初めて正式に財産を所有する権利を得ることができました。この判決は、日系人移民の権利の向上に寄与し、アメリカの法制度における重要な転機となりました。

強制収容と財産の保全

1941年、真珠湾攻撃を受け、フランクリン・ルーズベルト大統領は大統領令9066号を発令しました。その影響で原田家も1942年に強制収容所に送られましたが、それでも家族の忠誠心は揺るがず、二世の子供たちは軍に志願し戦争に赴きました。

自宅が危険にさらされる中、原田一家は全財産を信頼していた白人の友人に託し、戦後も戻るべき場所を守る努力を続けました。

国定歴史建造物への認定

1970年代に入ると、大学生が原田家の歴史を掘り下げることから始まり、この家の持つ歴史的な価値が再認識されました。1977年にリバーサイド市杭は公式のランドマークに指定し、その後、1990年に国立歴史建造物として認定されました。これは、原田一家が残した多くの道のりが重要であることを示しています。

維持の危機と修復の試み

しかし、ハラダハウスは寄贈当時から修復が必要な状態になっていました。それに対して、リバーサイド博物館は資金調達を進め、2020年までに重要な基礎や構造の修復を行う計画を立てました。2020年にはアメリカ絶滅危機史跡に指定され、さらなる保護への道が開かれています。これからもハラダハウスは、日系アメリカ人の歴史を語り続ける重要な拠点となるでしょう。

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