ハリツルマサキ

ハリツルマサキ（針蔓正木）

概要

ハリツルマサキ（学名：Gymnosporia diversifolia）は、ニシキギ科の植物で、半つる性の常緑低木です。別名としてトゲマサキやハートツリーと呼ばれることもあり、特にその果実の独特な形状から愛称がつけられています。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に指定されており、鹿児島県では絶滅危惧II類に分類されています。この植物は、かつてはハリツルマサキ属をMaytenusと呼ばれていましたが、最近の研究に基づいて分類が見直されました。

特徴

この植物の高さは通常0.1メートルから2メートル程度で、幹や枝は匍匐することが多く、一部は直立することもあります。葉は倒卵形から円形に近い楕円形をしており、革質で長さは1〜3センチメートルです。葉は長枝に対生し、短枝には束生します。葉の縁には鈍鋸歯があり、先端は丸いか凹んだ形を持っています。また、葉腋や枝先には鋭い刺が見られることがあり、これが他の植物と区別する要素となっています。

花は直径3〜5ミリメートルの白色のもので、春から秋にかけて開花します。単独または腋生の短い総状花序を形成する特性があります。果実は約6ミリメートルの長さで、赤色を呈し、軍配やハートのような形状をしています。果実は夏から冬にかけて成熟します。ハリツルマサキは同じ環境に生息するクロウメモドキ科のクロイゲに似ていますが、本種の葉はより厚く丸い形状で、色が明るく、鋸歯がはっきりしているのが特徴です。

分布と生育環境

ハリツルマサキは、奄美群島から先島諸島にかけて分布していますが、大東諸島は含まれません。また、国外においては台湾や中国南部、ベトナム、マレーシア、フィリピン、タイにも見られます。この植物は、海岸のサンゴ礁石灰岩の上や林縁に育つ傾向があります。

利用

琉球地域では、ハリツルマサキは古くから庭園樹や盆栽として親しまれてきました。その果実の特異な形から「ハートツリー」という名称で、鉢植え品が流通しています。これは、観賞用としての需要が高まっていることを示しており、庭園や公共の場において美しい景観を提供しています。

脚注

過去の資料においては、ハリツルマサキはMaytenus diversifoliaとして掲載されることがありましたが、現在の標準的な表記においてはGymnosporia diversifoliaに改められています。近年の研究や図鑑に基づいて、生物分類が再考されていることも、今後の植物学において重要なポイントです。

参考文献

• - 米倉浩司, 梶田忠. (2003). 「ハリツルマサキ Gymnosporia diversifolia Maxim.」BG Plants 和名－学名インデックス, 2024年アクセス.
• - 天野鉄夫.『琉球列島有用樹木誌』, 1982年.
• - 新里孝和, 嵩原建二.『伊江島の植物図鑑』, 2002年.
• - 環境省. (2020). 「環境省レッドリスト2020」.

このように、ハリツルマサキは美しい外見と利用価値から、観賞用植物としての地位を確立しています。

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