ハリー・ウラタ

ハリー・ウラタの生涯と業績

ハリー・ウラタ（1917年 - 2009年）は、日本人移民が多く住むハワイにおいて、日本の民謡「ホレホレ節」の保存と普及に尽力した音楽教師として知られています。彼の人生は、多様な文化と歴史が交錯する中で形成され、音楽を通じて多くの人々に影響を与えました。

生い立ちと教育背景

ウラタは1917年にホノルルで生を受けましたが、父親が交通事故に遭い亡くなったため、1924年に日本に送られることとなりました。そこで熊本県の親戚に育てられ、やがて日本統治下の朝鮮に住むことになります。高校を卒業後、早稲田大学に合格しましたが、1937年の日本の戦争危機が迫る中、母親の薦めで再びハワイに戻ることになり、大学進学は断念しました。

ハワイに戻ったウラタは、日本語学校で教鞭を執る傍ら、ミッド＝パシフィック・インスティテュートで英語を学びました。しかし、真珠湾攻撃によって太平洋戦争が勃発すると、FBIに逮捕され、ホノウリウリ抑留キャンプに収容されてしまいます。この場所でジャーナリストの川添樫風と出会い、「ホレホレ節」に対する関心が高まり、後にこの民謡の保存に尽力することとなります。

音楽活動の開始

トゥーリーレイク戦争移住センターから解放されたウラタは、1945年12月にハワイに帰還します。その後は新聞販売業に従事した後、地元のラジオ局KULAで日本語音楽番組の運営に携わります。また、戦前に結成していた音楽グループ「シンコー・オーケストラ」を再結成し、結婚式やパーティーなどで演奏を行いました。この時期に彼が見出した音楽への情熱は、彼の人生における中核を成すものでした。

さらに、ウラタは日本に渡り、著名な作曲家である古賀政男に師事。ハワイに戻った後は、自らの音楽スタジオを開設し、多くの生徒に音楽を教えるようになります。

「ホレホレ節」とその普及

1960年、ウラタはレイモンド服部（服部逸郎）とともに「ホレホレ節」の楽譜を制作しますが、特定の歌手のスタイルに基づいていたため、多くの歌い手から批判を受けます。そこでウラタは、より多くの録音を収集することを決意。1967年には、収集した録音をまとめたレコードを制作しました。彼の尽力により、「ホレホレ節」は保存され、次世代に引き継がれることとなりました。

1980年代まで、ウラタは録音の収集を続け、その成果をフランクリン・オドに託します。オドはその後、彼のコレクションをスミソニアン協会のフォークライフ・文化遺産センターに寄贈しました。ウラタは、生涯を通じて日本の音楽文化の重要性を広め、次世代へと伝える役割を果たしました。

彼の遺産と評価

2009年10月23日にウラタは92歳で世を去りますが、彼の業績は今なお多くの人々に影響を与え続けています。亡くなる数年前には、アメリカと日本の両政府から賞を受けるなど、その貢献が評価されました。ハリー・ウラタの音楽と教育に対する熱意は、今後の世代へと受け継がれていくことでしょう。彼の存在は、ハワイにおける日本人の文化遺産の重要な一端を形成しているのです。

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