ハロッズ

ハロッズ：ロンドンの象徴、高級百貨店の歴史と魅力

ロンドン中心部のナイツブリッジに位置するハロッズ(Harrods)は、イギリスを代表する老舗高級百貨店として世界的に有名です。その歴史は1824年、チャールズ・ヘンリー・ハロッドによる洋服店の創業にまで遡ります。当初はサザーク地区に小さな店舗を構えていましたが、1834年には食料雑貨店へと業態転換。その後、1849年に現在のナイツブリッジへと移転し、徐々に規模を拡大していきました。

ハロッズの成長は目覚ましく、1883年の火災を乗り越え、著名人や王室の人々を顧客として獲得。1898年にはイングランドで初めて動く階段（エスカレーター）を導入するなど、常に革新的な取り組みを続けてきました。

現在のハロッズは、5エーカーを超える広大な敷地に330以上の専門店を擁する巨大な百貨店です。その売り場面積は100万平方フィート以上にも及び、その規模はイギリス国内でもトップクラスを誇ります。ハロッズのモットーである「あらゆる商品を、あらゆる人々へ、あらゆる場所へ」(Omnia Omnibus Ubique)は、まさに同店の理念を表しています。特にクリスマスシーズンの装飾や食料品売り場は世界的に有名で、多くの人々を魅了しています。

経営面では、創業以来幾度かのオーナー変更を経てきました。2010年には、エジプト出身の富豪モハメド・アルファイドからカタール・ホールディングスに15億ポンドで売却されるという大きな転換期を迎えました。アルファイドは、王室御用達という地位を「呪い」とまで表現し、売却前に自ら御用達を解消しています。

ハロッズは百貨店事業以外にも、銀行、不動産、カジノ、航空など多様な事業を展開するグループ企業でもあります。かつてはアルゼンチンのブエノスアイレスにも支店を構えていましたが、現在は独立した企業として営業を続けています。

近年では、中国への進出も検討されるなど、グローバルな展開を模索しています。また、毛皮商品の販売を巡っては、動物愛護団体との間で長年にわたる論争が続いています。

ハロッズの歴史は、イギリス経済や社会の変遷と深く関わっており、その繁栄の裏には、創業者の努力、経営陣の戦略、そして時代の流れが複雑に絡み合っています。現在もなお進化を続けるハロッズは、単なる百貨店を超えた、ロンドンの象徴的存在と言えるでしょう。

ハロッズの歴史年表

1824年: チャールズ・ヘンリー・ハロッドが洋服店を創業
1834年: 食料雑貨店に転換
1849年: ナイツブリッジに移転
1883年: 火災による全焼、再建
1898年: イギリス初となる動く階段を導入
1914年: アルゼンチン・ブエノスアイレスに進出
1985年: ファイド兄弟による買収
2010年: カタール・ホールディングスによる買収
* 2013年: ブエノスアイレス店新装オープン

ハロッズと日本

日本の百貨店業界にもハロッズの影響は色濃く残っています。日比翁助がハロッズをモデルに三越を設立したとされる逸話は有名です。現在でも、三越伊勢丹グループがハロッズの紅茶やグッズを販売しています。また、アパレル業界でもハロッズブランドの商品が展開されてきました。

ハロッズを題材とした作品

ハロッズは、数々の映画やテレビ番組にも登場しています。例えば、ミスタービーンのクリスマスエピソードやピーターラビットの映画などでも、その象徴的な建物や店内が描かれています。

ハロッズは、単なる高級百貨店としてだけでなく、イギリスの歴史、文化、そして経済を語る上でも欠かせない存在となっています。今後もその発展に注目していきたいです。

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