ハロルドとモード 少年は虹を渡る

映画『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』の魅力

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』は、1971年に公開されたハル・アシュビー監督による名作映画です。この作品は、19歳の青年ハロルドと79歳の女性モードの異色の恋物語を描いています。自殺を演じることを趣味とするハロルドは、モードとの出会いを通じて生きる希望を見出し、彼女はその影響で人生を再評価していきます。映画は、日本でも1972年に公開以降、カルト的な人気を得て、再上映や舞台化など多くの形で再評価されています。

ストーリー概要

裕福な家庭に育ったハロルドは、日々の退屈を紛らわせるために自殺を模倣するという奇抜な趣味に没頭しています。彼の母親は過保護で、ジャガーの高級車をプレゼントしては自分の思い通りにしようとします。そのため、ハロルドは霊柩車に改造した車で、他人の葬儀に参加するのが日課と化しています。

そんな彼はある葬式で79歳のモードと出会い、この出会いが彼の運命を大きく変えます。モードもまた葬式に忍び込む趣味を持ち、自由奔放な彼女に引き寄せられるハロルド。彼女のアナーキーな生き方に触れ、ハロルドは次第に人生に対する意欲を取り戻していきます。

モードは、「人生は全力で楽しむべきものであり、退屈してはいけない」というメッセージをハロルドに伝えます。その言葉に刺激を受けた彼は、デートの後にプロポーズを決意し、2人は翌夜に情熱的な時間を共有します。年齢差にも関わらず、彼らの愛は純真で深いものであったのです。

しかし、物語はここで急展開を迎えます。満ち足りた人生を彩ったモードは、80歳の誕生日に自身の死を選びます。「素晴らしい人生の終わり方だわ」と彼女は言い残し、自ら命を絶つのです。この出来事は、若きハロルドにとって衝撃的な出来事であり、彼はモードの影響によって新たな気持ちを抱く一方で、その喪失に苦しむことになります。

自ら衝撃の選択をしたモードに深いつながりを感じたハロルドは、彼女の思い出を胸に、改造した霊柩車を崖に向かって走らせます。彼は寸前に脱出し、モードから贈られたバンジョーを弾きながら、新たな人生の一歩を踏み出します。

作品の評価と影響

『ハロルドとモード』は、アメリカの映画と文化において大きな影響を与えた作品として評価されています。キャメロン・クロウなど多くの著名人もこの映画に対する強い共感を表明しており、アメリカン・フィルム・インスティチュートによっても評価されています。また、音楽もキャット・スティーヴンスによる素晴らしいサウンドトラックが特徴です。

特に、モードのキャラクターは、観客に対して年齢や社会的期待に縛られない真の自由を象徴する存在として受け入れられています。この映画は、人生の意味や愛の形を問いかける内容が多くの人々に深く響いているため、今でも多くの映画ファンに愛されています。

なお、リバイバル上映やサウンドトラックのリリース、舞台化など、時代を超えて人々の心に残り続けているこの作品は、古典的な名作として、いつまでも色褪せることのない飽きの来ない魅力を持っています。

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