ハロルドとモード 少年は虹を渡る

ハロルドとモード 少年は虹を渡る

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』（Harold and Maude）は、1971年に公開されたハル・アシュビー監督によるアメリカ映画です。本作は、自殺を演じることを趣味とする19歳の少年ハロルドと、79歳の天真爛漫な老女モードとの奇妙な交流と恋愛を描き、公開当時から現在に至るまで、カルト的な人気を博しています。

ストーリー

裕福な家庭に育った19歳のハロルドは、母親の前で狂言自殺を繰り返すという特異な趣味を持っていました。彼は、母親からプレゼントされたジャガーXKEを霊柩車に改造し、見知らぬ人々の葬儀に参列することを日課としていました。そこでハロルドは、同じように葬儀に忍び込んでいる79歳の老女モードと出会います。

モードは、アナーキーな精神を持つ自由奔放な女性でした。排気ガスに汚された街路樹を抜き、白バイを盗んで山に植え替えるなど、突飛な行動を繰り返します。そんなモードに、ハロルドは次第に惹かれていきます。

実はモードは、若き日にナチスの強制収容所で過ごした過去を持っていました。彼女は、「人生というフィールドでは全力でプレイしなさい。でなきゃロッカールームで退屈するんだから。」という言葉で、厭世的な考えに囚われていたハロルドを励まします。モードとの交流を通して、ハロルドは徐々に生きる希望を取り戻していきます。

モードが自分にとってかけがえのない存在であると確信したハロルドは、彼女に求婚します。年齢差を乗り越え、2人は愛を深めますが、モードは80歳の誕生日に、自らの意思で人生に幕を閉じることを決意します。「こんなに素晴らしい人生の終わりは無いわ。」という言葉を残して、彼女は服毒自殺を遂げます。

一人残されたハロルドは、モードから贈られたバンジョーを手に、彼女との思い出を胸に新たな一歩を踏み出すのでした。

キャスト

モード: ルース・ゴードン
ハロルド: バッド・コート
* ハロルドの母親: ビビアン・ピックレス

作品の魅力

本作は、一見すると異質な組み合わせに見えるハロルドとモードの交流を通して、人生の意味や愛の形、死に対する向き合い方などを深く考えさせてくれる作品です。ブラックユーモアと温かいメッセージが織り交ぜられた独特な世界観は、多くの観客を魅了し続けています。

また、キャット・スティーヴンスが担当した音楽も、作品の雰囲気を盛り上げる重要な要素となっています。彼の楽曲は、ハロルドとモードの心情を繊細に表現し、観る者の心に深く響きます。

公開・評価

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』は、公開当初は評価が分かれましたが、その後、口コミで評判が広がり、カルト的な人気を獲得しました。[アメリカン・フィルム・インスティチュート]が選出する「アメリカ喜劇映画ベスト100」にもランクインするなど、映画史に残る傑作として高く評価されています。

舞台化

本作は、ジャン・ルイ・バローによって舞台化もされています。日本でも過去に公演されており、2024年にも『HAROLD AND MAUDE』のタイトルで上演が予定されています。

まとめ

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』は、単なる恋愛映画という枠には収まらない、奥深いテーマを持った作品です。人生に迷いや不安を感じている人、新しい視点や価値観に触れたい人にとって、きっと心に響く作品となるでしょう。

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