ハワード・アーマン

ハワード・アーマンは1954年にロンドンに生まれた、イギリスを代表する合唱指揮者およびオペラ芸術監督の一人です。

音楽の道を志した彼は、故郷ロンドンのトリニティ・カレッジで専門的な研鑽を積みました。キャリアの初期は主にイギリス国内で活動していましたが、1981年には活動の主軸をオーストリアおよびドイツへと移し、国際的な舞台での活躍を本格化させました。

ドイツ語圏に移って以降、アーマン氏は数多くの著名な合唱団と深く関わってきました。その中でも特筆すべきは、世界的に評価の高い放送局の合唱団での指揮です。北ドイツ放送合唱団（NDR Chor）、南西ドイツ放送合唱団（SWR Vokalensemble）、そしてベルリンRIAS合唱団といったプロフェッショナルな団体との協働は、彼の合唱指揮者としての名声を確固たるものとしました。

長期にわたる重要なポストとしては、1983年から2000年までの17年間にわたり、ザルツブルク・バッハ合唱団を率いたことが挙げられます。さらに、1998年から2013年までの15年間は、ライプツィヒを本拠地とする中部ドイツ放送（MDR）合唱団の音楽監督として、その芸術水準の向上に大きく貢献しました。これらの長期間の活動は、特定の団体と深く関わり、その特性を最大限に引き出すアーマン氏の手腕を示しています。

アーマン氏のレパートリーは幅広く、古楽から現代音楽、そしてオペラに至るまで多岐にわたりますが、特にバロック音楽、とりわけゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの作品解釈においては高い評価を得ています。ヘンデル祝祭管弦楽団の創設とその後の精力的な活動が認められ、1996年には権威あるハレ・ヘンデル音楽賞が彼に授与されました。これは、彼のヘンデル音楽への深い造詣と貢献が公式に認められた重要な出来事です。

2011年から2016年にかけては、スイスのルツェルン歌劇場において音楽監督兼首席指揮者という要職を務め、オペラ指揮者としての手腕も発揮しました。この期間中、彼はルツェルン音楽院の指揮科で教鞭を執り、後進の育成にも情熱を注ぎました。教育者としての活動は、彼の音楽への深い洞察と経験を次世代に伝える重要な機会となりました。

そして2017年からは、ミュンヘンに拠点を置くバイエルン放送合唱団の音楽監督に就任し、現在に至るまでその芸術的方向性を担っています。バイエルン放送合唱団はドイツを代表するプロ合唱団の一つであり、このポストはアーマン氏のキャリアの中でも特に重要な位置を占めています。

ハワード・アーマンは、その多才な才能と国際的な視野をもって、世界の音楽シーンにおいて重要な役割を果たし続けています。合唱指揮者として、またオペラ芸術監督として、そして教育者としても、彼の貢献は計り知れません。特にプロフェッショナルな合唱団のサウンドを磨き上げ、幅広いレパートリーを探求する姿勢は、多くの音楽家から尊敬を集めています。

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