ハンガリー社会主義労働者党

ハンガリー社会主義労働者党の歴史と実態

ハンガリー社会主義労働者党（通称MSZMP）は、かつてハンガリーに存在した一党独裁体制の中心にいた政党です。その起源は1918年に設立されたハンガリー共産党に遡ります。1948年、同党はハンガリー社会民主党と合併し、ハンガリー勤労者党が誕生しました。この党はラーコシ・マーチャーシュの指導下で、スターリン主義的な恐怖政治を敷くことになりますが、その後のフルシチョフによるスターリン批判を受けて、指導層は交代を余儀なくされました。

1956年のハンガリー動乱は、党に大きな影響を与えました。この動乱によって、党体制は揺らぎ、カーダール・ヤーノシュが新たに指導者として選ばれ、党は「ハンガリー社会主義労働者党」として再編成されました。カーダールは1960年代以降、一党独裁を維持しながらも、比較的穏健な政策を実施しました。この時期には「新経済メカニズム」が導入され、市場経済の要素が取り入れられるなど、一定の改革が行われました。

しかし、1973年にはソビエト連邦の圧力により、これらの改革は後退し、改革派の指導者たちはその地位を失うこととなります。しかし、ハンガリーの政治環境は他の東側諸国に比べて、相対的に自由であったため、多くの国民が西側諸国を訪れる機会がありました。

1980年代に入ると、カーダールが退任し、穏健な改革派であるグロース・カーロイが新たに書記長に就任しました。彼の下でさらなる政治改革が進められ、1989年には党の指導性を放棄する決定がなされました。この年、ハンガリーはオーストリアとの国境にある鉄条網を撤去し、民主化の流れが加速しました。

1970年代の動乱の名誉回復や、複数政党制の導入など、改革の歩みは続き、1989年の党大会では「ハンガリー社会党」への改称が決定されました。これにより、党は社会民主主義政党へと転換し、欧州統合を進める路線を取ります。

その中で、社会党への改組に反対した保守的な一部の人々は、新たに同名の「ハンガリー社会主義労働者党」を設立しました。しかし、この新しい政党は1990年の選挙で議席を失い、その後の選挙でも議席を獲得できないままでいました。1993年には赤い星の使用が禁止され、党名も「労働者党」と変更されるとともに、シンボルマークも変更されました。

2005年にはハンガリー共産主義労働者党に改称され、その後2013年には「共産主義」の党名使用が禁止となり「ハンガリー労働者党」と改名しています。この新たな党は反EU、反ユーロ、反NATOの立場を取っており、現在も活動を続けています。

結論

ハンガリー社会主義労働者党は、ハンガリーの歴史において重要な役割を果たしてきました。党の変遷や政策の推移は、冷戦時代の中での社会主義国の政治的動向を示す重要な事例です。

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