ハンターストン原子力発電所

ハンターストン原子力発電所の概要

ハンターストン原子力発電所（Hunterston nuclear power station）は、イギリスのスコットランド、エアシャーのハンターストン地区に所在する重要な原子力発電所です。この発電所は、A原発とB原発の2基から成り立ち、A原発は現在廃炉中であり、B原発は運転が継続されています。位置的にはラーグスの南約9km、ウエスト・キルブライドの北東約4kmの地点にあります。

A原発の詳細

A原発は1957年に建設が始まり、1964年9月22日にエリザベス皇太后によって開所されました。発電所には、マグノックス炉が2基設置されており、それぞれ180MWeの電気出力を持っています。マグノックス炉は、グラファイトを減速材として、天然ウランを燃料とし、二酸化炭素ガスで冷却される特徴があります。

A原発の設計には特有の特徴があり、原子炉下部から燃料交換が可能なように炉心が高所に設けられています。この設計により、運転中でも重力を利用して燃料を取り換えることが可能になり、原子炉寿命の延長に寄与することが期待されました。しかし、経年により構造上の懸念が生じたため、出力が150MWeに制限されました。最終的に、1990年には運転停止が決まり、1号炉と2号炉はそれぞれ1990年3月と1989年12月に運転を終了しました。

A原発は、建設から閉鎖に至るまで南スコットランド電力局の所有のもとで運用されましたが、その後はスコッティッシュ・ニュークリア、そしてマグノックス・エレクトリックを経て、現在は原子力廃止措置機関（NDA）の管理下にあります。

B原発の詳細

B原発は1976年から運転を開始しており、現在はEDFエナジーにより管理されています。この原発は出力が1,000MWで、2023年までの運転が計画されています。B原発は、The Nuclear Power Group（TNPG）のコンソーシアムによって建設され、主要な冷却系には二酸化炭素が使用されています。

建設は1968年に始まり、1976年には初めての送電が開始されましたが、過去には冷却系の問題や亀裂による構造的な懸念もありました。特に1977年、二次冷却系での問題が報じられ、海水が原子炉に侵入するという事故が発生し、数年間運転が不可能になる事態が生じました。修理に必要な費用は大きく、電気料金にも影響したとされます。

また、2014年には定期点検の結果、減速材に亀裂が見つかるなど、安全性についての問題も指摘されてきましたが、建設したEDFは運転には影響がないと説明しています。さらに、制御棒の追設などの対策も行われ、技術的な安定性を保つ努力が続けられています。

B原発はもともと2011年での運転終了が予定されていましたが、その後、技術的な検討を経て2023年までの延長が決まりました。こうした歴史的な経緯を持つハンターストン原子力発電所は、イギリスのエネルギー政策の中でも重要な役割を果たしてきました。

まとめ

ハンターストン原子力発電所は、A原発の歴史的な教訓とB原発の稼働が共存する複雑な構造を持っています。原子力発電の進化におけるケーススタディとして、多くの技術的な課題や社会的な反応とも無縁ではありません。これからも、エネルギー政策の重要な要素として注目され続けることでしょう。

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