ハンドレページ ジェットストリーム

ハンドレページ ジェットストリーム（Handley Page HP.137 Jetstream）

ハンドレページ ジェットストリームは、イギリスの航空機メーカー、ハンドレページが開発したターボプロップ小型旅客機です。与圧された胴体を持つことが特徴で、リージョナル路線での運用を主眼に置いて開発されました。この機体は、その後の航空業界における小型旅客機のあり方に大きな影響を与えたと言えるでしょう。また、軍用機としても運用された実績も持ちます。

開発の背景

1960年代、ハンドレページは大型旅客機を開発するだけの十分な資金を持ち合わせていませんでした。そこで、競合が少なく、比較的競争力が見込めた12〜18席クラスの小型旅客機市場に参入することを決定しました。1965年に開発がスタートし、当初はHP137という名称でしたが、後に「ジェットストリーム」という愛称が与えられました。

特徴

当時の競合機が非与圧で機内で人が立てないほどの空間しか持たなかったのに対し、ジェットストリームは与圧されたキャビンを備え、機内には人が立てるほどの十分な空間がありました。この居住性の高さに加え、コストパフォーマンスの向上も図られたため、アメリカの航空会社からの注目を集め、生産型の図面が完成する前に20機の注文を獲得することに成功しました。

開発と初期の苦難

1967年8月18日に初飛行したジェットストリームには、当初フランス製のアスタズーエンジンが搭載されていました。しかし、アメリカ空軍が実施した軍用機コンテストに参加するため、ギャレット・エアリサーチ社製のエンジンに換装したモデルも製造されました。しかし、ハンドレページの納期の遅れにより、このコンテストはキャンセルされるという苦難もありました。

1969年、顧客への納入が開始されましたが、すぐに性能不足が露呈しました。さらに、立て続けに2件の事故が発生したことで、ジェットストリームの評判は大きく低下し、ハンドレページは経営破綻へと追い込まれてしまいました。

その後の展開

経営破綻後、残された機体と部品はジェットストリーム社に買い取られ、製造が続けられました。その後、機体製造権はスコティッシュ・アビエーション社に引き継がれ、イギリス空軍向けにジェットストリームT.1として量産されることになりました。さらにその後、ブリティッシュ・エアロスペース（BAe、現在のBAEシステムズ）に統合され、ギャレット・エアリサーチ社製エンジンを搭載したジェットストリーム31が1980年3月28日に初飛行しました。このモデルは大幅な性能向上を遂げ、リージョナル路線で数多くの機体が運航されることになりました。

日本では、1991年から2003年の間、ジェイエアがこの機体を運用しており、最盛期には5機が在籍していました。

派生型

ジェットストリームには、以下のような様々な派生型が存在します。

Riley ジェットストリーム
ジェットストリーム 31
ジェットストリーム 31 コーポレート : 会社重役用の機体
ジェットストリーム 31EP : エンジン強化タイプ
ジェットストリーム 31EZ : EEZ または海洋パトロール用
ジェットストリーム Executive Shuttle : 12席仕様
ジェットストリーム 31 スペシャル
ジェットストリーム QC
ジェットストリーム 41

軍用オペレーター

ジェットストリームは、以下の国々で軍用機としても運用されました。

サウジアラビア
イギリス
イギリス海軍
* イギリス空軍

まとめ

ハンドレページ ジェットストリームは、その開発から現在に至るまで、様々な困難を乗り越え、小型旅客機市場において重要な役割を果たしてきました。特に、与圧されたキャビンと十分な機内空間は、当時の小型機としては画期的であり、乗客に快適な空の旅を提供することに貢献しました。その後の派生型であるジェットストリーム31は、リージョナル路線を中心に現在でも活躍しており、その歴史は今もなお続いています。

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