ハンドレページ ハンプデン

ハンドレページ ハンプデン

ハンドレページ ハンプデン（Handley Page Hampden）は、第二次世界大戦初期にイギリス空軍で運用された爆撃機で、ハンドレページ社が設計・製造した。日本では「ハンプデン」と呼ばれることが多いが、実際の発音は「ハムデン」である。特異な形状の機体は兵士たちに「空飛ぶフライパン」と称され、当時の最先端技術が詰め込まれていた。

概要

ハムデンは1932年に制定された仕様B.2/32に基づいて開発が始まった。原型機が初飛行したのは1936年6月であり、その後1938年5月には量産体制が整った。全金属製の双発機で、第一に空気抵抗を軽減するために横幅の狭い胴体設計が採用され、さらに外翼の前縁にはハンドレ・ページ式スラットが装備されていた。このおかげで、ハムデンは400km/h以上の速度から最低120km/hまでの広範囲での運用が可能だった。

開発と運用

開発当初、ハムデンはH.P52という名称で呼ばれ、複数の新技術が採用されていた。特に、機体形状の独自性が際立っており、多くの工夫がなされていた。航空力学的特性を向上させるために、乗員は機首の低い部分に配置され、細長い胴体が繋がっている。このデザインは「空飛ぶフライパン」や「空飛ぶオタマジャクシ」と称され、軍人たちにも親しまれていた。

1936年8月には180機の量産が決定し、1938年には初飛行を迎えた。この時点で、既に8つの飛行隊がハムデンを装備しており、第二次世界大戦開戦時には重要な戦力となっていた。しかし、実戦での使用では、機体後方の防御力不足や乗員の長距離飛行時の疲労、方向舵の小ささによる安定性の問題が浮き彫りになった。このため、1939年12月には昼間の爆撃任務から外され、夜間爆撃任務にシフトした。この改良を経て、ハムデンはドイツ本土に対する夜間爆撃において大きな戦果を挙げ、1942年9月まで使用された。

その後の運用

1942年までに、ハンドレ・ページ社を含む他のメーカーで合計1433機が生産されたが、その半数近くが戦闘によって失われた。少数がソ連に輸出され、特にブリストル・ペガサスエンジンを搭載したMK.1が主流だった。ただし、ライト・サイクロンエンジンを搭載したMK.2の試作機が1機存在した。

ハムデンはその後、沿岸航空隊の雷撃機・爆撃機として活躍し、1943年半ばまで北海のドイツ船団に対して活動を行った。最終的にはボーファイターに交替され、ハムデンの公式な運用は終了した。

ヘレフォード型

ハンプデンをベースに、ネピア・ダガーエンジンを搭載した「ヘレフォード」も存在する。1937年に初飛行し、100機が生産されたものの、エンジンの過熱問題が影響し、実戦には参加できず、主に教育目的に充てられた。

仕様

• - 全長: 17.32 m
• - 全幅: 21.08 m
• - 全高: 4.55 m
• - 翼面積: 63.9 m²
• - 機体重量: 5,340 kg
• - 全備重量: 8,500 kg
• - エンジン: ブリストル・ペガサス18 空冷9気筒 965 hp ×2
• - 最大速度: 409 km/h
• - 実用上限高度: 5,800 m
• - 航続距離: 3,050 km
• - 武装: 爆弾 1,800 kg、7.7 mm機銃 ×6
• - 乗員: 4名

ハンドレページ ハンプデンは、そのユニークなデザインと技術的進歩により、第二次世界大戦の空の戦いにおいて重要な役割を果たした歴史的な航空機である。

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