ハンドレページ O/400

ハンドレページ O/400：第一次世界大戦を彩った双発重爆撃機

ハンドレページ O/400は、イギリスの航空機メーカー、ハンドレページ社が第一次世界大戦末期に開発した双発重爆撃機です。先行して開発されたO/100をベースに、エンジンの強化や燃料系統の改良が施され、より高い性能を発揮しました。

開発の背景と特徴

イギリス海軍の要請によって開発されたO/100を基に、O/400はさらなる性能向上を目指しました。特にエンジンは、ロールス・ロイス社製のものが採用され、出力の増強が図られました。また、燃料系統やラジエーターの改良により、航続距離と安定性が向上しました。イギリスでは約700機、アメリカではリバティエンジンを搭載したものが107機生産されました。

1917年に初飛行を成功させ、1918年8月には部隊への配備が開始されました。同月25日には、2機がドイツ本土のマンハイムにある化学工場を夜間爆撃し、その後も40機がカイザースラウテルンやザールブリュッケンなどの飛行場を夜間爆撃するなど、ドイツ本土への戦略爆撃に投入されました。

戦後は、1919年後期までイギリス空軍で運用されたほか、民間機としても活用されました。また、中国では軍閥同士の内戦「安直戦争」において、段祺瑞陣営がスイス人傭兵パイロットを操縦士として、本機を爆撃任務に投入しました。さらに、1921年にはアメリカで行われた、航空機が戦艦を撃沈できるかという実験にも参加しています。

主要諸元

以下にハンドレページ O/400の主要諸元をまとめます。

乗員：4名
全長：19.16 m
全幅：30.48 m
全高：6.71 m
総重量：6,350 kg
最高速度：156 km/h
失速速度：64 km/h
実用上昇限度：2,590 m
航続時間：8時間
エンジン：ロールスロイス・イーグル8 水冷V型12気筒、360馬力×2
武装：7.7mm機銃×最大5丁
爆弾：最大907kgまで搭載可能

戦後の活躍と影響

第一次世界大戦後、O/400は軍用機としての役割を終えましたが、その高い信頼性と積載能力から、民間機として活躍しました。また、中国の内戦で使用されたり、アメリカで行われた実験に参加するなど、その活動範囲は多岐にわたりました。O/400は、その後の航空機の発展に大きな影響を与えた機体の一つと言えるでしょう。

参考資料

『複葉機イラスト名鑑』山猫堂
『中国的天空』中山雅洋

関連項目

* ハンドレページ O/100

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