安直戦争

安直戦争：北京政府内の対立とその影響

安直戦争（あんちょくせんそう）は、1920年7月14日に中国の華北地方で発生した戦争であり、主に安徽派の段祺瑞と直隷派の曹錕との間の対立が原因とされています。戦争は5日間にわたって繰り広げられ、最終的に安徽派が大敗を喫し、段祺瑞の支配が崩れました。

背景

1916年、袁世凱が死去すると、彼の後継として段祺瑞が中心となる安徽派が勢力を強めた。一方、直隷派は袁世凱の傍系であった馮国璋を中心に形成されていました。最初は両派の関係は悪くなく、1917年には段が内閣に参加するなど協力していました。しかし、1917年9月に孫文が南方で中華民国からの独立を主張したことをきっかけに、両派は意見を異にするようになります。段は武力による武力鎮圧を提案し、一方の馮国璋は平和的な解決を望んだため、次第に対立が深まりました。

1918年になると、段は新国会で同志の徐世昌を大総統に選出することに成功し、馮国璋は政権から排除されました。馮国璋が1919年12月に死去した後、直隷派として曹錕と呉佩孚が段に対抗する動きを見せ、1920年4月には奉天派と共に「反段祺瑞連盟」を結成しました。

戦争の進行

1920年7月1日、曹錕と呉佩孚は安徽派と北京政府の混乱の原因を指摘する声明を発表しました。この動きを受けて、安徽派の徐世昌は徐樹錚を遠威将軍に任命し、直隷派に備えさせました。7月14日、ついに戦闘が始まり、連携した直隷軍は「西路軍」と「東路軍」に分かれ、それぞれ北京方面への攻撃を展開しました。

西路軍は京漢鉄道に沿って進軍を開始しましたが、定国軍の抵抗に遭い、一時的に退くこととなりました。しかし、直隷軍の指揮官呉佩孚の指導の下、再度奮起し、安徽派に対して大きな打撃を与えました。

戦況は直隷派優位に進み、7月19日には段祺瑞が政権を辞任することになります。直隷派の勝利に恐れをなした大日本帝国は、戦争の影響を受けた地域に軍を配備しました。

戦後の北京政府

安直戦争の結果、安徽派は主要な軍事力を失いました。同年7月23日には、大勢の直隷派と奉天派が北京に入り、安徽派の政治機関を解体しました。この結果、段祺瑞の政権は崩壊し、直隷派と奉天派による新たな政権が樹立されることとなりました。

この新政府では、曹錕が直隷省・山東省・河南省の行政を担当し、呉佩孚が副使として補佐する形となりました。この影響で黄河下流域における直隷派の影響力が強まりました。その後も、直隷派と奉天派の間で腐敗や不満から対立が続き、さらなる内部抗争を招く要因となりました。

安直戦争は、短期間であったにもかかわらず、北京政府の政治構造に大きな変化をもたらし、以降の中国の歴史における分裂・抗争の一因となったのです。

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