ハンバー偵察車

ハンバー偵察車：第二次世界大戦を駆け抜けたイギリスの軽偵察車

第二次世界大戦下、イギリス軍はダイムラー偵察車など優れた偵察車両を運用していましたが、増大する需要を満たすには生産能力が不足していました。この状況を受け、ルーツ・グループを含む複数の企業が偵察車の生産を要請されたのです。その結果生まれたのが、ハンバー偵察車です。

1942年に開発されたハンバー偵察車は、ダイムラー偵察車と同様の設計思想に基づいていますが、軽量化を優先した設計が特徴です。ダイムラー偵察車がオープン型の車体だったのに対し、ハンバー偵察車は車体底部を非装甲とすることで軽量化を実現しました。

ハンバー偵察車は、通常2名の乗員で運用され、必要に応じて3名目の乗員のための簡易座席が設けられていました。また、通信手段としてNo.19無線機を搭載。主な兵装は、100発装弾のブレン軽機関銃1挺です。状況に応じて、車体上部または車内から操作可能な2挺目のブレン軽機関銃を増設することも可能でした。2挺目のブレン軽機関銃は自転車のハンドルのような操作装置で、ブレーキレバーのような機構で発射することができました。

1945年までの生産期間中に、少なくとも4,298両が発注され、4,102両が部隊に配備されました。そのうち1,698両がマークI型でした。イギリス軍では、第11装甲師団や防衛装甲師団などの装甲部隊に配備され、偵察や連絡任務に活躍しました。ダイムラー偵察車と比較すると性能はやや劣ると評価されていましたが、高い信頼性から重宝されました。

ハンバー偵察車の活躍はイギリス軍にとどまりませんでした。ポーランド第2軍団やスロバキア第1装甲旅団にも少数が供与され、戦線でその能力を発揮しました。戦後も、ヨーロッパ各国軍で運用されたほか、ベルギー警察は1958年まで使用し続けました。

ハンバー偵察車は、主に以下の2つの派生型が存在します。

マークI型: 初期生産型
マークII型: 改良型トランスミッションを搭載

ハンバー偵察車は、第二次世界大戦におけるイギリス軍の戦力維持に貢献した重要な軽偵察車でした。その簡素ながらも堅牢な設計、そして高い信頼性は、過酷な戦場環境においても高い運用性を確保し、様々な任務をこなすことを可能にしました。軽量化による機動性の高さも、偵察車としての役割を十分に果たす上で重要な要素だったと言えるでしょう。戦後も継続して使用された実績は、その高い実用性を物語っています。

参考文献

George Forty - World War Two Armoured Fighting Vehicles and Self-Propelled Artillery, Osprey Publishing 1996, ISBN 1-85532-582-9.
I. Moschanskiy - Armoured vehicles of the Great Britain 1939-1945 part 2, Modelist-Konstruktor, Bronekollektsiya 1999-02 (И. Мощанский - Бронетанковая техника Великобритании 1939-1945 часть 2, Моделист-Конструктор, Бронеколлекция 1999-02).

参考ウェブサイト

Armyvehicles.dk
Warwheels.net
* Photo gallery at Tanxheaven.com

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