ハンブルク攻囲戦 (1686年)

ハンブルク攻囲戦（1686年）

ハンブルク攻囲戦は、1686年にデンマーク王クリスチャン5世がハンブルクを屈服させようと試みた、3週間にわたる攻城戦です。この戦いは、武力行使による頂点でしたが、最終的には失敗に終わりました。

背景

歴代の宗主権問題

ハンブルクはハンザ同盟に加盟していましたが、自由都市、帝国自由都市のいずれでもありませんでした。1510年に神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世がハンブルクを自由都市に昇格させ、1618年に帝国最高法院がそれを確認したにもかかわらず、デンマーク王はこれを認めませんでした。デンマークにとってハンブルクはホルシュタイン公領に属しており、デンマーク国王はホルシュタイン公として、ハンブルクに臣従儀礼を求めていました。1603年には、デンマーク国王クリスチャン4世とシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ公ヨハン・アドルフに対して、非常に穏やかな形ではありましたが、臣従の礼が捧げられました。

デンマークは過去にも軍事力でハンブルクを屈服させようと試みましたが、1616年、1629年、1630年から1643年にかけての試みは失敗に終わっています。1643年の最初の攻囲戦後、表面的で熱意を欠く臣従の誓いと賠償金の支払いは、デンマークがハンブルクに対して実効的な宗主権を持つことを意味しませんでした。1645年には、ハンブルクはスウェーデンの助けを借りて再び独立を回復しました。

1650年から1651年にかけて、デンマーク王家とその傍流であるシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ公家の双方が、ハンブルクに対し、1回限りの貢納金の支払いによる臣従義務の最終的な解消を初めて申し出ました。1652年まで交渉が行われましたが、三十年戦争の損害から立ち直ろうとしていたハンブルクは、この解決策を断りました。

デンマークの干渉は、ハンブルクが要塞施設を強化する原因となりました。1626年までに21基の稜堡と最高9メートルの防壁を伴う城壁が建設され、1679年にデンマークが攻囲戦を挑むと、1682年にはシュテルンシャンツェ（星形堡塁）が築かれました。新たな警備体制は、新しい民兵連隊や中隊の創設につながり、17世紀には80,000人から100,000人の人口に対して最大11,000名の市民が武装していました。これに加えて、俸給を受け取る職業軍人の兵団も存在しました。一方、デンマークは1616年に下エルベのグリュックシュタットに税関を建設し、ハンブルクのすぐ隣にあるホルシュタイン公領のアルトナを競合都市へと拡張していました。

領域喪失の代償

3回の敗戦と和約（1645年のブレムセブルー条約、1658年のロスキレ条約、1660年のコペンハーゲン条約）を通じて、デンマークは国土の1/3にあたるスコーネ地方をスウェーデンに奪われました。ネーデルラントの支援下で敢行した報復戦争は、緒戦の成功にもかかわらず失敗に終わりました。1679年のルンドの和約によって、デンマークは奪還した地域を再び手放さざるを得ませんでした。この領土喪失の代償として、ハンブルクが狙われることになったのです。講和から間もなく、クリスチャン5世はハンブルクに対する最初の攻囲戦を開始しましたが、ハンブルクが220,000ターラーを支払い、ピンネベルクの和議で臣従の請求権の法的確認を約束すると、兵を引きました。

過去のドイツにおける伝統的な歴史記述では、フランス国王ルイ14世が1686年の2回目のハンブルク攻囲戦を背後で推進したと見なされてきましたが、それは部分的に不当な主張です。フランスは交渉を通じて解決を図るよう繰り返し注意を促し、自ら仲介を申し出ていたからです。また、スウェーデン国王カール11世も、自国に対するさらなる報復戦争への関心を逸らすべく、その努力をハンブルクに向けるようクリスチャン5世を鼓舞していました。

デンマーク軍による攻撃は、バルト海沿岸と北ドイツを数十年にわたって抗争に巻き込んできた、スウェーデン＝フランス同盟とデンマーク＝ネーデルラント同盟という2つの同盟の解消を背景に実施されました。フランスは、デンマークに補助金と要求の承認を与え、ハンブルクへの攻撃を支援しました。

前史

紛争の直接的な原因は、外交情勢ではなく、ハンブルク内部の権力闘争と騒擾、いわゆる「ヤストラムとスニットガーの騒擾」でした。都市貴族的で寡頭制の市参事会と、ハンブルク市議会の民主的な民衆運動家との対立は、1684年に市長ハインリヒ・モイラーの追放につながりました。

元市長モイラーは、皇帝レオポルト1世に助けを求めました。皇帝は、モイラーのハンブルク市長復職を命じます。1686年1月には、リューネブルク軍がハンブルク近郊を占領しました。

リューネブルク軍の行動は、クリスチャン5世にホルシュタイン公領へ部隊を集結させる契機を与え、デンマークの軍艦はエルベ川を封鎖しました。クリスチャン5世は、自らの異母兄に軍の指揮権を託し、ハンブルクに条件と金銭の要求を伝えました。要求は、世襲的臣従、400,000ターラーの支払い、デンマークの駐屯部隊の継続的な受け入れ及び給養でした。

攻囲戦の経過

1686年8月20日、デンマーク軍はアイムスビュッテルへ前進を開始しました。デンマークの最後通牒は、市内の政変につながり、スニットガーとヤストラムが逮捕されました。ブランシュヴァイク＝リューネブルク公ゲオルク・ヴィルヘルムは、リューネブルクの部隊をハンブルク軍の指揮下に移します。

シュテルンシャンツェが主戦場となり、守備隊の出撃とアルトナへの砲撃はデンマーク軍の士気を挫き、アルトナの破壊につながりました。8月26日には、停戦が合意されました。

デンマークの攻囲軍はハンブルクを完全には包囲しておらず、ドイツ諸邦からハンブルクへ援軍が駆けつけました。反撃の脅威に直面したクリスチャン5世は9月6日、オッテンゼンへの退却を命じました。

攻囲戦の影響

停戦の発効直後から、徹底的な外交交渉が始まり、1686年10月16日にゴットルフの和議が成立しました。ハンブルクはデンマークに対し、戦費を支払うこととなりました。

和議成立前、スニットガーとヤストラムは死刑を宣告され、処刑されました。クリスチャン5世は特赦を要求しましたが、叶いませんでした。モイラーは市長に復職しました。

ゴットルフ城での交渉では、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ公クリスチャン・アルブレクトとその弟、リューベック司教アウグスト・フリードリヒの要求についても交渉で解決を図ることとなりました。1689年のアルトナの和議によって、クリスチャン5世は占領したゴットルプ公の所領を手放すこととなりました。

その後もデンマークは、ハンブルクを巡る争いを続けました。

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