ハンブルク港

ハンブルク港：ドイツを代表する巨大港湾

ハンブルク港は、ドイツ北部のエルベ川河口から約100km内陸に位置する、ドイツ最大の港湾です。ヨーロッパ全体で見ても、ロッテルダム港、アントワープ港に次ぐ第3位の規模を誇り、世界有数の海上コンテナ取扱量を誇ります。

歴史

ハンブルク港の歴史は、1189年5月7日に神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世がエルベ川での関税徴収権をハンブルクに与えたことに始まります。これにより、ハンブルクは北ヨーロッパにおける交易の中心地として発展し、ハンザ同盟の重要な港湾都市として繁栄しました。中世の時代から、穀物、織物、毛皮、ニシン、香辛料、木材、金属などの交易拠点として重要な役割を果たしました。

16世紀以降、大航海時代が到来すると、ハンブルク港はヨーロッパと世界を結ぶ貿易港として、その重要性をさらに高めます。19世紀後半には、世界貿易の急速な拡大に対応するため、倉庫街の建設や港湾機能の拡張が行われ、エルベ川対岸への拡張も進められました。これにより、ハンブルク港はコーヒー、ココア、香辛料、絨毯などの世界最大の取扱港となり、1895年にキール運河が開通すると、バルト海へのアクセスが向上し、港の重要性はさらに増しました。

しかし、第二次世界大戦中には、ハンブルク空襲によって港湾施設は壊滅的な被害を受けます。戦後、ハンブルクはイギリスの占領地区、ブレーマーハーフェンはアメリカの占領地区となり、その影響から、ハンブルク港はアジア・アフリカ航路、ブレーマーハーフェンは北米・南米航路にそれぞれ重点を置くようになりました。

近年の動向

近年、ハンブルク港は中国との関係を深めています。中国からの貨物取扱量の増加を背景に、中国国営企業の中国遠洋海運集団（COSCO）がトレロー・コンテナターミナル（CTT）への出資を計画しました。この計画に対して、ドイツ政府内では重要なインフラへの中国の関与を懸念する声が上がりましたが、最終的には出資額を25%未満に制限し、人事などの重要事項への関与を認めないことを条件に、出資が許可されました。

また、2021年には、パラグアイから到着したコンテナから16トンものコカインが発見されるという事件が発生しました。これはヨーロッパにおける過去最大の麻薬密輸事件でしたが、2023年にはハンブルク港とロッテルダム港で合計35.5トンのコカインが押収され、記録が更新されています。これらのコカインの末端価格は約26億ユーロ（約4400億円）に相当します。

コンテナターミナル

ハンブルク港には、以下の主要なコンテナターミナルがあります。

Eurogate Container Terminal Hamburg (CTH)
オペレーター：Eurogate
岸壁長さ：2,050 m
面積：140 ha
水深：16.7 m
年間取扱容量：260万TEU（計画450万TEU）
使用会社：Maersk Sealand, The New World Alliance Hanjin, Yang Ming, MSC
HHLA Container Terminal Burchardkai (CTB)
オペレーター：HHLA
岸壁長さ：2,850 m
面積：160 ha
水深：16.5 m
年間取扱容量：280万TEU（計画520万TEU）
使用会社：Cosco, Evergreen, MISC, CMA CGM, Senator
HHLA Container Terminal Altenwerder (CTA)
オペレーター：HHLA
岸壁長さ：1,400 m
面積：80 ha
水深：16.7 m
年間取扱容量：240万TEU（計画300万TEU）
使用会社：Grand Alliance
HHLA Container Terminal Tollerort (CTT)
オペレーター：HHLA
岸壁長さ：995 m
面積：40 ha
水深：15.2 m
年間取扱容量：95万TEU（計画200万TEU）
使用会社：K Line, MSC, Yang Ming

まとめ

ハンブルク港は、その長い歴史の中で、ヨーロッパと世界を結ぶ重要な貿易拠点として発展してきました。現在でも、最新のコンテナターミナルを備え、世界経済に不可欠な役割を果たしています。しかし、麻薬密輸や中国資本の参入など、新たな課題にも直面しており、今後の動向が注目されます。

関連項目

* 横浜港 - 姉妹港

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