中国遠洋海運集団

中国遠洋海運集団（COSCOCS）について

中国遠洋海運集団有限公司（China COSCO Shipping Corporation Limited）は、中華人民共和国の国務院国有資産監督管理委員会が100%出資する国有企業です。持株会社制を採用し、傘下に海運、物流、リース、造船など多岐にわたる事業を手掛ける企業を抱える複合企業として活動しています。

設立と合併

2016年2月17日に、中国海運業界の二大巨頭であった「中国遠洋運輸（集団）総公司（COSCO）」と「中国海運（集団）総公司（CHINA SHIPPING）」が合併し、現在の中国遠洋海運集団が誕生しました。この合併により、運航船舶数は832隻、資産価値は219億米ドルに達し、世界有数の海運企業グループとなりました。

事業規模

同社は、ドライバルク船の隻数で世界1位、液体タンカーの載貨重量トン数で世界1位、コンテナ船のTEU換算で世界4位という巨大な規模を誇ります。世界的な輸送用船舶の過剰供給と国際運賃の低迷という厳しい状況下で、M&Aによる市場統合と競争力強化を図り、事業拡大を続けています。

一帯一路構想との関わり

中国が提唱する「一帯一路」構想の中核企業として、同社は重要な役割を担っています。2017年にはギリシャのピレウス港湾公社の株式67％を取得するなど、欧州各地の重要港湾とその関連企業への出資・運営を積極的に行っています。

主なグループ企業

中国遠洋海運集団は、多数のグループ企業を抱え、それぞれの分野で専門的な事業を展開しています。以下に主なグループ企業とその事業内容をまとめます。

中遠海運控股股份有限公司(COSCO SHIPPING Holdings Co., Ltd.)：コンテナ船輸送事業を担う中核企業。
中遠海運集装箱運輸有限公司(COSCO SHIPPING Lines Co., Ltd.)：コンテナ船の運航を専門とする。
中遠海運港口有限公司(COSCO SHIPPING Ports Limited)：国内外のコンテナターミナル運営を行う。
中遠海運散貨運輸有限公司(COSCO SHIPPING Bulk Co., Ltd.)：ばら積み船輸送を専門とする。
中遠海運能源運輸股份有限公司(COSCO SHIPPING Energy Transportation Co., Ltd.)：タンカー輸送を専門とする。
その他、物流、リース、造船、船舶代理店、資産管理など、多様な事業を手掛けるグループ企業を抱えています。

事業内容の詳細

ばら積み船輸送

ばら積み船輸送は、中遠海運散貨運輸有限公司が中心となり行われています。2017年1月時点で、同社のばら積み船隊は、載貨重量トン数、隻数ともに世界第1位の規模を誇ります。

タンカー輸送

タンカー輸送は、中遠海運能源運輸股份有限公司が担当しており、2017年1月時点で、タンカー船隊の船腹量が載貨重量トン数で世界第1位となっています。

コンテナ船輸送

コンテナ船輸送は、中遠海運控股股份有限公司の子会社である中遠海運集装箱運輸有限公司が担当しています。同社は、海運アライアンス「オーシャン・アライアンス」に所属し、グローバルなコンテナ輸送ネットワークを構築しています。

2018年には、東方海外貨櫃航運公司(OOCL)を買収し、コンテナ船事業をさらに拡大しました。

コンテナターミナル運営

コンテナターミナル運営は、中遠海運港口有限公司が中心となり、国内外の主要港湾でターミナル運営を行っています。

商船・海上プラットフォームの建造修繕

商船および海上プラットフォームの建造修繕は、中遠海運重工有限公司が、傘下の中遠船務工程集団有限公司、中遠造船工業公司、中海工業有限公司を統括して行っています。

日本における展開

コスコシッピングラインズジャパン株式会社は、中国遠洋海運集団が日本国内に設立した企業で、コンテナ船事業における日本総代理店の役割を担っています。また、その他にも複数の関連会社を通じて、日本国内で多様な事業を展開しています。

その他の情報

同社は、世界的な海運業界の再編と統合の波の中で、積極的なM&A戦略を展開し、規模と競争力を拡大してきました。今後も、一帯一路構想を背景に、グローバルな物流ネットワークの強化と事業拡大を続けることが予想されます。

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