ハン・ゴンジュ 17歳の涙

ハン・ゴンジュ 17歳の涙

『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』（한공주）は、2014年に韓国で公開された長編映画です。監督は本作がデビュー作となるイ・スジン。2004年に韓国で実際に発生した女子中学生集団性暴力事件に着想を得て制作されました。

あらすじ

物語の主人公は、17歳の少女ハン・ゴンジュ（演：チョン・ウヒ）。かつて中学生の時に経験した忌まわしい集団暴行事件により、故郷を離れ、転校を余儀なくされます。彼女はかつての担任教師の母親の家に身を寄せ、ひっそりと新しい生活を始めます。

新しい学校に馴染むことも難しく、遠く離れて暮らす両親からも支えを得られないゴンジュは、深い心の傷を抱えたまま日々を送ります。しかし、偶然彼女の美しい歌声を耳にした同級生たちとの交流が始まり、次第に心を開き、新しい場所での居場所を見つけかけます。音楽を通じて、ゴンジュは再び立ち直るための希望を見出し始めます。

しかし、過去の事件は容易く彼女を解放しません。予期せぬ形で、事件の関係者やその影響が再び彼女の前に立ちはだかり、懸命に築き上げてきた新しい日常を脅かします。ゴンジュは再び深い絶望に突き落とされそうになります。この映画は、性暴力被害者が経験するトラウマ、社会からの孤立、そして自己を再構築しようとする困難な道のりを、静かで力強い視点で描いています。

キャスト

主要キャストは以下の通りです。

ハン・ゴンジュ：チョン・ウヒ
ウニ：チョン・インソン
ファオク：キム・ソヨン
キム・ドンユン：キム・ジェヨンジュン
ミノ：キム・ヒョンジュン
先生：チョ・デヒ
先生の母：イ・ヨンナン

主演のチョン・ウヒは、過去の傷に苦しみながらも懸命に生きようとする主人公ハン・ゴンジュを卓越した演技力で体現し、高い評価を得ました。

評価と受賞

本作は、国内外の数々の映画祭で高い評価を受けました。

第18回釜山国際映画祭でプレミア上映され注目を集めました。
第13回マラケシュ国際映画祭で大賞を受賞。
第43回ロッテルダム国際映画祭で最高賞を受賞。
韓国国内でも、第34回韓国映画評論家協会賞で脚本賞（イ・スジン）と主演女優賞（チョン・ウヒ）を獲得。
第35回青龍映画賞では、イ・スジン監督が新人監督賞を、チョン・ウヒが主演女優賞を受賞しました。

特に主演のチョン・ウヒは、本作での演技により、韓国映画界における確固たる地位を築きました。

作品の意義

『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』は、被害者の視点から性暴力という重いテーマを描き、事件そのものだけでなく、その後の被害者の人生に続く苦しみや、社会の無関心、周囲からの二次的な加害といった問題提起を行っています。センセーショナルな描写に頼らず、主人公の繊細な感情や心理に寄り添う演出が高い評価を得た要因です。韓国社会において、性暴力被害者への向き合い方や支援のあり方について議論を喚起した作品としても重要な意味を持っています。

関連項目

密陽女子中学生集団性暴行事件

外部リンク

ハン・ゴンジュ 17歳の涙 - allcinema
* ハン・ゴンジュ 17歳の涙 - オールムービー（英語）

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