ハートブレイクホテル

『ハートブレイク・ホテル』（原題: Heartbreak Hotel）は、クリス・コロンバスが脚本と監督を務めた1988年のアメリカ映画です。デヴィッド・キースとチューズデイ・ウェルドが主演し、1972年を舞台に、エルヴィス・プレスリーにまつわる数々の「伝説」を基にした、架空の誘拐事件と、その後の退廃からの贖罪を描いています。テキサス州オースティンにある、ジョン・ヘンリー・フォークの旧邸宅「グリーン・パスチャーズ」でロケが行われました。

物語は、シングルマザーと2人の子供が下宿を営む日常から始まります。10代の息子と9歳の娘を抱える母親が交通事故で入院してしまいます。母親の誕生日プレゼントとして、息子とそのバンド仲間は、母親の大好きな歌手エルヴィス・プレスリーを誘拐することを計画します。彼らは母親のピンク・キャデラックでオハイオ州クリーブランドまで向かい、エルヴィスの母親にそっくりな地元のピザ屋の店主を、エルヴィスの母の幽霊と偽って気を紛らわせ、エルヴィスにクロロホルムを飲ませるという大胆な作戦を実行します。

エルヴィスは下宿先で目を覚ましますが、少年との間にはぎこちなさが残ります。少年はエルヴィスを見下し、ベガスに売り飛ばされたと非難しますが、徐々に2人は互いを理解し、友情を育んでいきます。そして、エルヴィスは、高校のタレントショーで少年のバンドと共に「ハートブレイク・ホテル」を演奏し、物語は感動的な結末を迎えます。

この映画は、公開当時から賛否両論の評価を受けました。批評サイトRotten Tomatoesでは、13のレビューに基づき38％の評価にとどまっています。ニューヨーク・タイムズのジャネット・マスリンは、「クリス・コロンバスは、アイデアの設定はうまく行ったが、どこでやめるべきか分かっていなかった」と指摘し、ジョニー、彼の母、マリー、そしてエルヴィス自身に奇跡的な自己改善をもたらそうとしていると述べました。一方、ワシントン・ポストのリタ・ケンプリーは、「こんな風変わりな脚本なら、オーバーアクトやキャスティングのミスも気にならない」と述べ、エルヴィスを演じることはケネディを演じるようなもので、ほぼ不可能だとも語っています。

映画で使用されている音楽は、ほとんどがエルヴィス・プレスリーの実際の録音ですが、デヴィッド・キースとチャーリー・シュラッターは、1968年のテレビ特別番組のスタイルで、タイトル曲「ハートブレイク・ホテル」を演奏しています。

この映画は、エルヴィス・プレスリーという伝説的な存在を、少年の成長物語の中に巧みに織り込み、独特のユーモアと温かさに満ちた作品として、今もなお、多くの映画ファンに愛されています。

参考情報

Heartbreak Hotel - IMDb（英語）
ハートブレイクホテル - Box Office Mojo（英語）

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