ハートルプール原子力発電所

ハートルプール原子力発電所について

ハートルプール原子力発電所は、イギリスのノース・イースト・イングランドにある原子力発電所であり、ダラム州ハートルプールから約2.5マイル南に位置し、ティーズ川の河口に近い場所に設置されています。この発電所は、総出力1,190メガワットを持ち、イギリス全体のピーク電力需要の約2%を賄っています。発電所は、改良型ガス冷却炉（AGR）技術を採用しており、イギリスで3番目に運用されているAGR型の原子力発電所です。また、ハートルプール原発は、都市近郊に建設された初の原子力発電所でもあります。

設立経緯と歴史

この発電所の設計は1967年に始まり、1969年に建設がスタートしました。1983年から運転を開始し、1985年には商業運転に入っています。当初、この発電所は中央発電局（CEGB）によって運営されていましたが、1990年代の電力市場の民営化の流れに沿って、ニュークリア・エレクトリックおよびブリティッシュ・エナジーがその所有権を引き継ぎ、現在はEDFエナジーが運営しています。

この発電所の設立にあたっては、原子力の安全性や立地条件への懸念がありました。特に、発電所は都市部に近く、多くの住民が存在する地域に位置しているため、リスク評価や安全対策が重要視されました。

技術的仕様

ハートルプール原子力発電所は、2基の改良型ガス冷却炉を持ち、これらを使って発電機に熱を供給します。これにより、最大1320メガワットの発電能力が期待され、125万世帯へ安定的な電力供給を行っています。発電所内の機器の設計や建設には、多くの企業が関与しており、その中にはナショナル・ニュークリア・コーポレーションやゼネラル・エレクトリック・カンパニーも含まれています。

施設の観光と教育

1990年には、発電所に訪れる人々向けのビジターセンターが設置され、さまざまな教育プログラムが運営されていましたが、1990年に民営化が進んだ際に一度閉鎖されました。しかし、現在はEDFエナジーによって再オープンされています。ここでは、発電所ツアーや特別なイベントが行われ、訪問者が原発に関連する知識を深める場になっています。

将来の展望

発電所は当初2009年に運転停止が予定されていましたが、原子力規制局からさらに5年間の延長が認められ、2014年まで運転が継続されました。この後、2010年には寿命がさらに延長され、2019年までの運転が可能となっていました。

さらに、発電所の運営者は、新たな原子炉の設置が適切であるとし、英国政府はその候補地としてハートルプールを挙げました。もし新炉が建設されれば、1800メガワットの発電能力を持つ新しい原子炉が建設される予定です。このプロジェクトには投資として50億から60億ポンドが見込まれ、建設には3,000人以上の労働者が関与し、完成後は600人の新たな雇用が創出されるとされています。

ただし、このプロジェクトには環境問題を重視する団体や地域住民からの反発の声もあり、地域の雇用状況や安全性に関する懸念も財事されています。特に、日本の福島第一原子力発電所の事故以降、原子力への懸念が高まる中で、慎重な判断が求められています。

ハートルプール原子力発電所は、地域の主要な電力供給源であると同時に、将来的には新しい技術の導入を通じて、持続可能なエネルギーの供給にも貢献する可能性があります。

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