ハートレス

ハートレスとは

「キングダム ハーツ」シリーズにおいて、物語の中心的な敵として頻繁に登場する存在が「ハートレス」です。これは、人の心の奥底にある闇が増大し、すべてを覆い尽くしたときに、その心から生まれる異形の怪物です。「心なきもの」とも称されますが、正確には「自らの心の闇に屈した、心だけの存在」と言えるでしょう。

彼らは知性が乏しく、主に人の心の闇に反応し、それを奪って増殖するという本能的な行動原理に従います。かつては少数でしたが、本編開始の約10年前に賢者アンセムが心の研究を始めたことでその数が爆発的に増加し、多くの世界を闇に飲み込む脅威となりました。研究を中止したアンセムは弟子たちに追放されますが、彼らの実験は続行され、特に一番弟子のゼアノートは自らハートレスとなり、その本能的な存在すら統率しようとしました。ゼアノート以外の5人の弟子もハートレスになりましたが、人の姿を保ったのはゼアノートだけでした。

行動原理とキーブレード

それぞれの世界にはその世界の「心」へと通じる「扉」と「鍵穴」が存在し、より強い心を求めるハートレスは世界の心を目指します。世界の心が奪われると、その世界は闇に飲まれて崩壊してしまいます。しかし、伝説の武器である「キーブレード」によって鍵穴が閉じられると、ハートレスは二度とその世界の心に到達できなくなります。このため、ハートレスはキーブレードの使い手を執拗に狙う習性を持っています。

賢者アンセムの仮説では、自らの意思でハートレス化した場合、以前の記憶や姿、自我を保つことがあるとされています。ゼアノートがその代表例であり、一時的にハートレスになったソラにもその兆候が見られました。スカーの例では姿は保たれたものの、自我の有無は不明です。

なお、『KHIII』でアクアが闇に染まりアンチ・アクアと化したのは、心が体から抜ける「ハートレス化」とは異なり、「心を持ったまま闇に落ちた」状態であると説明されています。

分類

ハートレスは主に以下の2種類に分類されます。

• - ピュアブラッド (Pureblood): 人の心の闇から自然発生するタイプです。全身が黒く、光の世界だけでなく闇の世界にも生息しています。闇の世界のハートレスは全てこのタイプです。
• - エンブレム (Emblem): レイディアントガーデン（ホロウバスティオン）にあるアンセムの研究室で人工的に作られたタイプです。体表のどこかに特徴的な紋章（茨が巻きついたハートと十字架を模したもの）があり、これは心が闇に飲まれたことや異端の印を意味し、エラクゥス一門の紋章とも類似しています。闇の世界には存在せず、光の世界や狭間の世界にのみ現れます。全体的に丸く黄色い瞳を持つのが特徴です。

ごく一部には、ポッドスパイダーやバレルスパイダーのように、自然発生とされながらエンブレムの特徴（倒すと心が出現）を持つなど、どちらにも分類が難しいハートレスも存在します。

また、強い心を持つ者がハートレスになった際、残された肉体と魂が意思を持って動き出すことがあります。これが「ノーバディ」と呼ばれる存在です。

討伐と再生

エンブレムのハートレスをキーブレードで倒すと心が放出され、ハートレス化する際に消滅した身体と共に元の心の持ち主に再生するという設定があります。キーブレード以外でも倒すことは可能ですが、その場合解放された心はやがて他のハートレスに吸収されてしまうため、根本的な解決にはなりません。

ハートレスとなった者は、キーブレードで倒されて心が解放されることで元の姿に戻ることができます。しかし、その肉体がノーバディになっている場合は、ノーバディが消滅するまで元の姿への再生は起こりません。ソラがハートレス化した際は、ノーバディのロクサスが誕生しましたが、カイリに抱き締められるという特殊な状況下で、心の繋がりの強さにより例外的に元の姿に戻ることができました。

各ゲームにおける登場

シリーズを通して様々な形で登場し、物語やワールドの脅威となります。

• - キングダム ハーツ: 闇の探求者アンセム（ゼアノート）の企みにより、ヴィランズに利用され、キングダムハーツ奪取の駒とされます。ソラたちの活躍でゼアノートは倒され、闇の扉が閉じられることで滅びかけた世界は元に戻りました。
• - キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ: 忘却の城が舞台のため、ソラやリクの記憶から再現された存在として現れます。
• - キングダム ハーツII: 自然発生する性質上、キングダムハーツが閉じられた後も多くが残存。ピートらに利用され、XIII機関によってキーブレードで倒されたハートレスから放出される心を集め、新たなキングダムハーツを創り出す計画が進められます。
• - キングダム ハーツ 358/2 Days: XIII機関のロクサスがキーブレード使いとして、ハートレス討伐と心回収の任務を担います。
• - キングダム ハーツ コーデッド: ジミニーメモのデータ世界で異変の原因となります。倒されて解放されるのは心ではなく闇の意思であり、データバグを超越した強大な個体も出現しました。
• - キングダム ハーツ バース バイ スリープ: 賢者アンセムの研究以前の時代にも存在が確認され、闇の世界に堕ちたアクアが遭遇します。
• - キングダム ハーツ キー: 予知書に基づき、おとぎ話の時代に未来世界の構成要素として出現。この時代のキーブレード使いは、討伐で心ではなくルクスやギルトを集めます。
• - キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-: 闇の世界を舞台に、より強大な個体が出現しアクアと戦います。
• - キングダム ハーツIII: 世界中に蔓延するだけでなく、ヴァニタスの復活によりアンヴァースとも共存し、同時に襲いかかることもあります。
• - キングダム ハーツ ダーク ロード: キーブレード戦争後の再生途上の世界に多く生息。ハートレスは「人間の心の闇の具現化」であり、抑制しきれなくなった負の感情が形になったものと語られます。

主な種類

多くの種類が存在しますが、代表的なものを挙げます。

• - ピュアブラッド: シャドウ（最も普遍的、大群で襲う）、ダークサイド（巨大なボス）、データ世界のソラ・ハートレス、ネオ・ダークサイド（強化型）、デビルズタワー/ウェーブ（シャドウの集合体、他の敵を取り込む）など。
• - エンブレム: ソルジャー（定番のザコ敵）、ラージボディ（正面が固い大型）、レッドノクターンなどの魔法使い系（特定属性を吸収、色＋音楽の名称）、ホワイトマッシュルームなどのキノコ系（非攻撃的、特殊条件でアイテムをドロップ）、闇の探求者アンセム（人の姿を保った特異な存在）、うしろの人（アンセムの従者）、ワールドオブカオス（アンセムの最終形態）、フリングホルニ（DRのボス）など。

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