ハーバード歯科医学校

ハーバード歯科医学校（Harvard School of Dental Medicine, HSDM）

ハーバード歯科医学校（HSDM）は、アメリカ合衆国で最も著名な歯科医教育機関のひとつであり、ハーバード大学の大学院の一部としてボストンのロングウッド医療文教地区に位置しています。日本では「ハーバード大学歯学部」と呼ばれることもありますが、実際には学士課程を提供するのではなく、完全に大学院組織として運営されています。

HSDMでは、歯学博士（DMD）課程に加え、様々な専門分野のトレーニングプログラムや、Ph.D.取得プログラム、医学修士・博士課程（Master/Doctor of Medical Sciences）が行われています。学生数は約280名に過ぎず、教員との距離が近い親密な教育環境が整っています。HSDMは、米国の歯科学校の中でも特に小規模であり、卒業生数は全世界で約2,600名です。しかし、その影響力は非常に大きく、多くの同窓生が大学教員や組織のリーダーとして活躍しています。

歴史と沿革

19世紀の初め、アメリカでは歯科治療は少ない専門家が行うものであり、正式な教育機関は存在しませんでした。初の正式な歯科学校は1840年にボルチモアで設立されたもので、当時の歯科業界は職人が徒弟修行で技術を習得する環境にありました。しかし、1867年にハーバードが設立したのが、大学に基づいた歯科医教育の始まりとなります。

HSDMは、当初修業年限を1年から2年に延長し、初代校長には、ハーバード・メディカルスクールを卒業した人物が就任しました。この動きは、歯科学が学術的な分野として認識されることを促しました。1869年には、ハーバードが「歯科医学博士」（DMD）という学位を与えた最初の機関となり、その後、他の歯科大学もこの制度を採用するようになりました。

1940年には名称が「ハーバード歯科学校」から「ハーバード歯科医学校」に変更され、口腔医学の研究と他分野との融合を強調した改称が行われました。また、1957年には、博士課程修了後のプログラムが拡充され、口腔外科や小児歯科学の研修プログラムが設けられました。1994年には、カリキュラムの大改革が実施され、臨床に基づいた4年制のプログラムが導入されました。

同窓生の役割

ハーバード歯科医学校は、2,500名以上の同窓生を持つ組織「ハーバード歯学同窓会」を運営しており、彼らは母校の行事に参加し、卒業生の関係を強化しています。また、同窓会は季刊の会誌を発行し、同窓生同士の交流を促進しています。

結論

ハーバード歯科医学校は、現在でも口腔医療界の最先端であり続け、新しい歯科医療の形や研究分野において重要な役割を果たしています。少人数制の環境により、学生は高い教育を受け、自らの専門性を深めることができます。卒業生たちは常にコミュニティ参加に努め、母校に貢献し続けています。

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