ハーフムーン・セレナーデ

ハーフムーン・セレナーデ

「ハーフムーン・セレナーデ」は、河合奈保子が1986年にリリースした彼女の26枚目のシングルです。日本コロムビアから発売され、EPの規格品番はAH-785です。この曲は、河合が作曲したアルバム『スカーレット』からのシングルカットとして届けられました。

楽曲の概要

この楽曲は、河合にとって作曲による初のシングルであり、表題曲は大きなスケールを持つバラードです。ピアノの弾き語りで演奏されたこともあり、彼女が清純なアイドルからアーティストへと変貌を遂げる重要な転機となりました。1986年末の『第37回NHK紅白歌合戦』において、河合はこの曲で6年連続で出場を果たしましたが、これが彼女にとって最後の出演となっています。また、TBSテレビの『ザ・ベストテン』でも23曲目のランクインを果たし、以来10位以内に入ったのはこの曲が最後となりました。

さらに河合は、1986年10月24日放送のテレビ朝日『ミュージックステーション』の初回においてもこの曲を披露しています。

海外での影響

「ハーフムーン・セレナーデ」は、その後も多くのアーティストにカバーされ続け、1987年には香港の歌手ハッケン・リー（李克勤）が『月半小夜曲』というタイトルで広東語に翻訳し、大ヒットを記録しました。以来、この曲は香港においてスタンダード・ナンバーとして歌い継がれています。また、日本国外での日本音楽著作権協会（JASRAC）により、2021年度の国内作品の著作権使用料分配額で第8位にランクインしました。

制作過程

アルバムのプロデューサーである売野雅勇の推薦を受け、新人作詞家の吉元由美が河合のアルバムの全曲の作詞を手掛けることになりました。曲の制作では、売野が全体のイメージやテーマを決定し、河合が作曲、吉元が歌詞を担当するという流れで進められました。また、山梨県の山中湖で作曲合宿が行われたり、神奈川県の観音崎京急ホテル内で録音合宿も行われたことが伝えられています。リリース前からコンサートや音楽番組でパフォーマンスされていたこの楽曲は、歌詞とアレンジがリリース時に若干異なっています。

収録曲

本シングルには、以下の楽曲が収められています。

• - ハーフムーン・セレナーデ
• - SENTIMENTAL SUGAR RAIN

両曲の作詞は吉元由美、作曲は河合奈保子、編曲は瀬尾一三によって行われました。

カバーアーティスト

ハーフムーン・セレナーデは、多くのアーティストにカバーされています。たとえば、1987年12月にハッケン・リーが彼のファーストアルバム『命運符號』でこの曲を収録したことがあげられます。さらに、プリシラ・チャンやロッキー・チェンなどもカバーし、特にロッキー・チェンはオーディション番組やライブなどでそのアレンジを披露し、そのスタイルが印象深いものとなっています。また、2016年にはジョイ・ヨン（容祖儿）が『我是歌手』という番組でハッケン・リーのカバーを行い、大きな評価を受けました。2022年には、ベトナムのジュリア・ゲン（Julia Nguyễn）がベトナム語でデジタルシングルとしてこの曲を発表しています。

以上のように、「ハーフムーン・セレナーデ」は、河合奈保子の音楽キャリアにおける重要な一曲であり、その後も多くのアーティストに影響を与えてきたことがわかります。

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