バアス党

バアス党の概要

バアス党（バアスとう、アラビア語: حزب البعث）は、汎アラブ主義を掲げる政党であり、主にシリアとイラクで活動しています。党の正式名称は「アラブ社会主義バアス党」であり、党名の「バアス」はアラビア語で「復興」や「使命」を意味します。この党名は、アラブの栄光を取り戻すという理念を反映しています。

バアス党は、アラブ民族の統一と社会主義を追求し、「単一のアラブ民族、永遠の使命を担う」というスローガンのもと、政治理念を展開しています。特に、バアス主義はアラブの近代化を重要視し、イスラム原理主義とは対立する立場を取っています。結党の目的には、西洋の影響で南北に分割された国家群を解体し、アラブ民族が統一された国家を構築することが含まれています。

バアス党の歴史的背景

バアス党は20世紀前半の思想家ミシェル・アフラクによって1950年代に本格的に形成されました。初期のメンバーは、主に軍の若手将校や知識人でした。1947年には第一回の党大会がダマスカスで開催され、1953年にはアラブ社会党と合併し、党名を改称しました。1963年にはシリアでクーデターを起こし、政権党としての地位を確立しました。

イラク・バアス党は、シリアのバアス党から分派したものであり、1968年から2003年のイラク戦争まで一党独裁体制を敷いていました。サッダーム・フセインが大統領の座にあり、その間にアラブ民族主義とナショナリズムを結びつけた独自のイデオロギーを形成しました。

現在のバアス党

アラブの春以降、多くの国でバアス党は厳しい状況に直面しています。特に、イラクでは2003年の戦争によって党が解体され、多くの党員が追放されました。新たな政権は「非バアス化法」を施行し、バアス党に関連する人物を公職から排除しました。この政策は、元党員の社会復帰を妨げ、多くの人々に経済的な困難をもたらしました。

今日まで、シリアとイラクのバアス党は派閥に分かれ、シリア政府との関係においても意見の不一致が続いています。シリア・バアス党は現在も政権を維持し、国民進歩戦線の一部として他の政党と連携していますが、イラク・バアス党は分裂状態にあり、かつての勢力を取り戻せていません。特に、アメリカと連携した新政府の進める政策によって、バアス党は苦境に立たされています。

その他の地域のバアス党

パレスチナ、レバノン、ヨルダン、イエメンなどにもバアス党は存在していますが、影響力は限定的です。ヨルダンでは、2012年以降バアス党が再び活動を開始したものの、非合法化されています。イエメンは二つの主要な派閥に分裂しています。

このように、バアス党の歴史はアラブ世界の政治において重要な役割を果たしてきましたが、その影響力は時代とともに変遷しています。また、未来においてどのように各国のバアス党が進展し、統一した理念を持って行動するかが注目されるところです。

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