バイオハザードII アポカリプス

『バイオハザードII アポカリプス』

『バイオハザードII アポカリプス』（Resident Evil: Apocalypse）は、2004年に公開されたアメリカ、イギリス、ドイツの合作によるホラーアクション映画です。2002年の映画『バイオハザード』の正式な続編であり、サブタイトルである「アポカリプス」は「黙示録」を意味します。前作の事件直後を舞台に、ラクーンシティという架空の都市で発生したバイオハザードの惨劇と、そこからの脱出を描いています。

概要

本作は、カプコンのビデオゲーム『バイオハザードシリーズ』の映画化作品です。前作で監督、脚本、製作を担当したポール・W・S・アンダーソンは、同時期に『エイリアンVSプレデター』の監督を務めていたため、本作では脚本と製作に回り、監督はアレクサンダー・ウィットが担当しました。主演のアリス役は、前作に引き続きミラ・ジョヴォヴィッチが務めています。

本作は、シリーズの中で唯一PG-12指定を受けていません。また、原作ゲーム『バイオハザード3 LAST ESCAPE』から強い影響を受けており、同作のキャラクターや舞台、演出などが多く再現されています。日本では、本作から配給がソニーに変更されました。

ストーリー

アンブレラ社の地下研究所「ハイブ」でのバイオハザード発生から2日後、汚染は内部で食い止められたかに見えました。しかし、ハイブの調査のために派遣されたアンブレラ社の社員が地下入り口を開けたことで、ウイルスが街に蔓延。ラクーンシティはアンデッドで溢れかえり、壊滅状態に陥ります。

アンブレラ社は事態の隠蔽を図り、中央警備局（CSA）やU.B.C.S.を派遣して街を封鎖します。U.B.C.S.隊長のカルロス・オリヴェイラは、アンデッドに追われていた女性を助けますが、彼女はすでに感染しており、絶望から自殺してしまいます。

一方、S.T.A.R.S.のジル・バレンタインは、同僚や市民と共に教会に逃げ込みますが、そこにはリッカーが待ち構えていました。絶体絶命の危機に陥った時、バイクに乗ったアリスが現れ、リッカーを瞬時に殲滅します。アリスはハイブから生還した唯一の人物でした。

同時期、アンブレラ社の仮設テントでは、T-ウイルスを開発したチャールズ・アシュフォード博士が、行方不明になった娘のアンジェラを探していました。彼は、アリスたちに接触し、アンジェラを救出するための協力を求めます。しかし、アリスたちの背後には、新たな脅威であるネメシスの影が迫っていました。

キャスト

主要人物

アリス・アバーナシー（演：ミラ・ジョヴォヴィッチ）：元アンブレラ社の特殊工作員。T-ウイルスを細胞レベルで取り込み、超人的な身体能力を得ています。
マット・アディソン（演：エリック・メビウス）：前作でアリスと共にハイブを脱出した人物。本作では回想シーンに登場し、ネメシス計画の実験体にされています。
ジル・バレンタイン（演：シエンナ・ギロリー）：ラクーンシティ警察のS.T.A.R.S.隊員。原作ゲーム『3』の衣装を忠実に再現しています。
ペイトン・ウェルズ（演：ラズ・アドティ）：S.T.A.R.S.隊員。ジルと親交が深く、アンデッド化してしまいます。
ライアン・ヘンダーソン（演：デイブ・ニコラス）：S.T.A.R.S.の隊長。アンブレラ社の傀儡で、アンデッドの脅威を理解していません。

ラクーンシティの一般市民

ロイド・ジェファーソン・ウェイド（L.J.）（演：マイク・エップス）：スリの容疑で逮捕されていた黒人男性。アリスたちと行動を共にします。
テリ・モラレス（演：サンドリーヌ・ホルト）：テレビ局のニュースキャスター。ラクーンシティで起きた出来事を撮影し続けます。
アンジェラ・アシュフォード（演：ソフィー・ヴァヴァサー）：チャールズ博士の娘。難病を患っていましたが、T-ウイルスによって治癒しています。

U.B.C.S.(アンブレラ・バイオハザード対策部隊)

カルロス・オリヴェイラ（演：オデッド・フェール）：U.B.C.S.の隊長。アンブレラ社を見限り、脱出を目指します。
ニコライ・ジノビエフ（演：ザック・ウォード）：U.B.C.S.の軍曹。原作とは異なり、仲間思いの性格です。
ユーリ・ロギーノワ（演：ステファン・ヘイズ）：U.B.C.S.の隊員。アンデッド化してしまいます。

アンブレラ社

ティモシー・ケイン少佐（演：トーマス・クレッチマン）：ラクーンシティ隔離部隊の指揮官。冷酷な性格で、ネメシス計画の責任者です。
チャールズ・アシュフォード博士（演：ジャレッド・ハリス）：T-ウイルスの開発者。娘のアンジェラを救うため、アリスたちに協力します。
サミュエル・アイザックス博士（演：イアン・グレン）：アンブレラ社の科学部門のヘッド。アリスやマットにT-ウイルスを投与しました。

登場クリーチャー

アンデッド/ゾンビ：T-ウイルスに感染した市民の成れの果て。
ゾンビ犬：警察犬がT-ウイルスに感染したもの。
リッカー：アンブレラ社が作り出した生物兵器。教会に潜んでいます。
ネメシス（演：マシュー・G・テイラー）：アンブレラ社の最強の生物兵器。元々はマット・アディソンです。

日本語吹替

テレビ朝日『日曜洋画劇場』やフジテレビ版などの吹き替え版が存在します。2015年には、フジテレビ版の吹替版を収録したBlu-rayも発売されました。

スタッフ

監督：アレクサンダー・ウィット
製作：ポール・W・S・アンダーソン、ジェレミー・ボルト、ドン・カーモディ
脚本：ポール・W・S・アンダーソン
音楽：ジェフ・ダナ

作品解説

前作とは異なり、原作ゲームのキャラクターが登場し、ゲームの世界観との融合が図られています。特に『バイオハザード3 LAST ESCAPE』の影響が強く、ジル・バレンタインやネメシスなどが登場します。ジルを演じたシエンナ・ギロリーは、役作りのためにゲームの動きを研究し、高い評価を得ました。

ロケ地

ラクーンシティのロケ地はカナダのトロントとその近郊で行われました。アンブレラ社の研究所のロケ地には、トロント市庁舎のツインタワービルが使用されています。

撮影

アリスがビルから駆け下りるシーンや、スタントシーンはミラ・ジョヴォヴィッチ自身やスタントマンが演じ、デジタル合成で表現されています。撮影時には様々なアクシデントもあったようです。

演出

物語冒頭でラクーンシティが猛暑であるという設定は、アリスやジルの衣装を薄着にするためのアイデアでした。しかし、撮影は寒く、女優陣は苦労したそうです。

オマージュ

原作ゲーム『3』の他にも、『バイオハザード CODE:Veronica』のシーンを再現したアクションシーンが登場します。また、アンジェラとチャールズの苗字は『CODE:Veronica』の登場人物と同じ「アシュフォード」です。

小説版

キース・デカンディードによる小説版も発売されています。

エピソード

NGシーンでは、L.J.役のマイクのアドリブで、ミラやシエンナが笑ってしまうことが多かったようです。また、撮影中にエキストラが怪我をするなどのハプニングもありました。

脚注

出典や外部リンクについては、記事の末尾をご覧ください。

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