バイチュン・ブティア

バイチュン・ブティア：インドサッカー界の英雄

バイチュン・ブティア（Baichung Bhutia）は、1976年12月15日、インドのシッキム州ティンキタムで生まれました。彼は、インドサッカー界を長年にわたり牽引し、数々の輝かしい功績を残した元プロサッカー選手です。ポジションはフォワードでした。

ヨーロッパへの挑戦

国内クラブでの活躍後、1999年にブティアはイングランドへと渡ります。フラム、アストン・ヴィラ、WBAなどでトライアルを受け、最終的にイングランド2部リーグ（現フットボールリーグ1）のベリーFCと3年契約を結びました。この移籍は、インド人として初めてヨーロッパのプロリーグでプレーする選手として、大きな話題となりました。2002年までベリーFCで活躍し、その実力をヨーロッパの舞台で証明しました。

インド代表としての輝かしいキャリア

1995年、19歳という若さでインド代表デビューを果たして以降、ブティアは長年にわたり代表の中心選手として活躍しました。特に、地元開催となったAFCチャレンジカップ2008では、インド代表の初優勝に大きく貢献し、大会最優秀選手に選ばれるという栄誉に輝きました。2009年8月には、代表通算100試合出場を達成し、名実ともにインドサッカー界の顔となりました。彼は代表最多出場・最多得点記録保持者として、その記録は今もなお破られていません。2011年8月、惜しまれつつも代表からの引退を発表し、2012年1月10日に行われたインド代表対バイエルン・ミュンヘンの試合をもって、正式に代表を引退しました。

AFC初代殿堂入り

長年の功績が認められ、2014年11月21日、ブティアはAFC（アジアサッカー連盟）の初代殿堂入りを果たしました。これは、彼がアジアサッカー界に残した多大な貢献を称えるものであり、インドサッカー界にとっても大きな喜びとなりました。

人柄とエピソード

ブティアは、サッカー選手としてだけでなく、その人柄でも多くの人々から愛されています。彼の兄もローカルレベルのサッカー選手であり、兄弟揃ってサッカーに情熱を注いでいました。名前の「バイチュン」は、文字通り「弟」を意味します。彼の出身地であるシッキム州には、彼の名前を冠したサッカースタジアム「Baichung Stadium」があり、地元の人々からの敬愛の念が伝わってきます。2004年には長年の恋人と結婚し、2010年には双子の子供（女の子と男の子）を授かりました。また、2008年の北京オリンピック聖火リレーでは、インド国内のランナーの一人に選ばれていましたが、中国のチベット暴動鎮圧に抗議するため、ランナーを辞退したというエピソードも残っています。

所属クラブ

イースト・ベンガル (1993-1995)
JCTミルズ (1995-1997)
イースト・ベンガル (1997-1999)
ベリーFC (1999-2002)
モフン・バガン (2002-2003)
イースト・ベンガル (2003-2006)
ペラ (2006) ※レンタル移籍
モフン・バガン (2006-2009)
イースト・ベンガル (2009-2011)
ユナイテッド・シッキムFC (2011-2013)

バイチュン・ブティアは、インドサッカーの歴史にその名を深く刻み込んだ、まさに英雄と呼ぶにふさわしい人物です。

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