バイトのコーメイくん

『バイトのコーメイくん』は、カレー沢薫が描く、三国志の武将たちが現代日本でコンビニ店員として生活する奇想天外なギャグ漫画です。講談社の『月刊モーニングtwo』で2012年から2015年まで連載され、全3巻の単行本として刊行されました。

物語の舞台は、山口県にある架空の田舎町・三国市。この町では、劉備、曹操、孫権という三国志の英雄たちが、それぞれコンビニエンスストアを経営しています。

主人公の劉備は、松阪牛の血を引く乳牛でありながら、ローカルコンビニ「SHOCK」の店主です。お人好しで無欲な性格ですが、首が着脱式という奇妙な特徴を持ちます。彼の店でアルバイトをするのが、諸葛亮（コーメイ）です。大学生でありながら、房中術学園卒という異色の経歴を持つ彼は、デザイナーズブランドの服を買うためにアルバイトをしています。また、重度の中二病を患う高校生の趙雲もSHOCKのアルバイトとして加わり、物語をさらに賑やかにします。

一方、大手コンビニチェーン「GIGIGI」の店長を務めるのは、クロヒョウの曹操。彼は三国市を制覇するために東京から派遣されてきた、尊大な性格の持ち主です。彼の部下である司馬懿は、同性愛ではなく「愛に性別を考慮しない主義」を掲げる特異な人物で、曹操に常軌を逸した愛情を向けています。さらに、女性恐怖症の許褚もGIGIGIのアルバイトとして登場し、騒動を巻き起こします。

また、「GOGO」というコンビニを経営する虎の孫権は、向こう見ずな性格で、勢いだけでコンビニ経営を始めた人物です。彼の店には、ツンデレ美少女の周瑜、おっとりした未亡人の大喬、そして大柄でマッチョな小喬という、孫一族が店員として働いています。

これらのコンビニ店員たちの日常に、さまざまなキャラクターたちが絡み合ってきます。例えば、コーメイの高校時代の同級生である貂蝉は、肥満体型でブスという設定ながらもなぜかモテるという、一風変わったキャラクターです。呂布は董卓のボディーガードでありながら、貂蝉に好意を抱いているという複雑な関係にあります。他にも、美容外科医の華佗ミキヤや、ケーキ屋を営む老婆の黄忠ばあちゃんなど、個性豊かな登場人物たちが物語を彩ります。

この作品では、三国志の英雄たちが現代社会でどのように生きるのかという視点が描かれており、歴史的な人物を題材としながらも、現代的なユーモアとギャグが満載です。登場人物たちの奇抜な設定や、予想外の展開は、読者を常に飽きさせない魅力があります。また、キャラクターたちの掛け合いや、コンビニ業界の競争をコミカルに描いており、日常に潜む小さな笑いを見つけることができるでしょう。

『バイトのコーメイくん』は、歴史と現代、シリアスとギャグが絶妙に融合した、ユニークな作品として、幅広い層におすすめできる漫画です。クスッと笑える日常を求めるなら、ぜひ手に取ってみてください。

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