黄忠

黄 忠（こう ちゅう）の生涯と業績

黄忠（拼音: Huáng Zhōng）は、中国の後漢末期から三国時代にかけて活躍した蜀漢の将軍で、字は漢升（かんしょう）。出身地は荊州南陽郡で、子息として黄叙がいる。彼は劉備に仕え、益州や漢中の攻略で数々の戦果を上げた名将として知られています。

劉備軍での活躍

黄忠は最初、劉表に仕官して中郎将として任命され、劉表の従子・劉磐と共に長沙郡の攸県を守備していました。しかし、劉表の死と曹操による荊州の占領後、彼は曹操の配下に加わり、太守のもとで執務を行いました。赤壁の戦い後、劉備が荊州南四郡を平定する際に黄忠は劉備に帰順し、益州に侵入しました。彼は劉備軍の一将として、常に先陣を切って敵陣を攻撃し、その勇猛さは軍内で広く知られるようになりました。

定軍山の戦い

建安24年（219年）春、劉備が漢中に進軍すると、曹操の夏侯淵と定軍山で対峙します。夏侯淵はその勇猛さで名を馳せていましたが、黄忠は法正の指示に従い、後方から夏侯淵に襲いかかります。この奇襲によって夏侯淵や益州刺史の趙顒を討ち取り、劉備に大勝利をもたらしました。この戦功によって、黄忠は征西将軍に昇進しました。

後将軍任命と関羽との関係

同年の秋、劉備は黄忠を後将軍に任命しようとしましたが、諸葛亮は関羽が黄忠を軽んじるのではないかと懸念しました。結局、劉備は関羽を納得させ、黄忠を後将軍とし、関内侯の称号を与えました。しかし、関羽は黄忠を「老兵」と侮り、同列にはつかないと述べましたが、最終的には説得を受け入れました。黄忠は建安25年（220年）に亡くなり、彼の家は子息が早逝したため断絶しました。その後、景耀3年（260年）に剛侯の諡が送られています。

三国志演義での描写

小説『三国志演義』においては、60歳を超えた老将として描かれ、弓の名手として数々の一騎討ちで敵将を討ち取る姿が描かれています。老いてなお勇猛な彼は、五虎大将軍の一人としての地位も与えられました。関羽との間では互角に戦ったエピソードがあり、彼が馬が躓いた際、関羽が黄忠の命を助ける場面も見られます。

その後、漢中攻略では厳顔と共に数々の敵を破るなどした後、定軍山で夏侯淵を討つ活躍がありました。『演義』では220年に亡くなったのちも、夷陵の戦いに登場し、若者たちを称える発言に反発し仕官しますが、結局は死を遂げます。黄忠の戦士としての姿勢は、現代の中国で「老黄忠」として評価され続けています。

脚注

黄忠の業績は他の蜀漢の武将に比べて記録が少なく、彼の人柄については『三国志』に記載されている『季漢輔臣賛』の中でも「義に厚い壮士」と称されています。黄忠の勇気と忠誠は、後世にわたり語り継がれるものとなっています。

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