バイバイマン

ホラー映画『バイバイマン』：呪われた名前と絶望の連鎖

2017年、アメリカで公開されたホラー映画『バイバイマン』（原題: The Bye Bye Man）は、想像を絶する恐怖を描いた作品として話題を呼びました。監督はステイシー・タイトル、主演はダグラス・スミスが務め、ロバート・デイモン・シュネックのノンフィクション作品『The President's Vampire』に収録された短編小説を原作としています。「考えるな、言うな。この名を知るだけでお前は死ぬ。」というキャッチコピーが示す通り、本作は、ある恐るべき存在との遭遇によって引き起こされる、悲劇的な連鎖を描いています。

序盤：禁断の名前との出会い

物語は、1969年の猟奇殺人事件から始まります。犯人は友人とその家族を殺害する際に、「あの名前を誰に言った？」と繰り返し尋ね、自らも「名前を言うな、考えるな」と呟き続けるのです。現代、エリオット、サーシャ、ジョンは郊外の屋敷に引っ越します。屋敷の家具を整理中に、彼らは「考えるな」「言うな」と書き連ねられた紙を発見し、その下に「バイバイマン」という恐ろしい名が刻まれていることに気づきます。

引っ越しパーティーの後、屋敷の異様な雰囲気を感じたサーシャは、霊能力を持つ友人キムを呼びます。降霊術を試みる中でキムは「考えるな、言うな」と繰り返し、エリオットが不注意から「バイバイマン」と発した瞬間、灯が消え、キムは恐怖に慄きます。その日から、3人は幻覚や幻聴に悩まされるようになります。エリオットは屋敷の傷跡や物音に怯え、サーシャとジョンの関係を疑い始めます。サーシャはバイバイマンの存在を確信し、エリオットも屋敷とバイバイマンについて調査を開始します。

中盤：過去の真実と増幅する恐怖

エリオットは図書館で、1969年の殺人事件に関する記事を見つけます。記事を書いたのは、事件を起こしたラリー・レドモンで、彼は友人とその家族を殺害した後、自殺していました。バイバイマンの存在を確信したエリオットは、キムを助け出そうとしますが、彼女は幻覚に惑わされ、列車に飛び込んで命を落とします。

キムの死後、ショー刑事はエリオットを殺人容疑で疑いますが、キムの遺書によって疑惑は晴れます。しかし、遺書にはキムがエリオットたちを殺害しようとしていたことが記されていました。エリオットは警察から離れ、兄ヴァージルとも関係を断ちます。

終盤：絶望と悲劇の連鎖

屋敷に戻ったエリオットは幻覚に惑わされ、ジョンを殴って気絶させます。しかし、サーシャが発見した手がかりから、彼らはラリーの残したナイトテーブルを屋敷の外に捨て、ラリーの妻レドモン夫人に会いに行きます。レドモン夫人はバイバイマンに関する情報を伝え、「名前を知る者が全員死ぬ」と告げ、エリオットに拳銃を渡します。

エリオットは恐怖心を克服しようと試み、幻覚に打ち勝ちます。屋敷に戻ると、サーシャがジョンを殺そうとしており、エリオットはジョンを射殺しますが、それは幻覚で、実際にはサーシャを殺してしまいます。絶望するエリオットの前にバイバイマンが現れ、到着したヴァージルとアリスを追い返そうとしますが、失敗し、自らの頭を撃ち抜いて自決します。屋敷は炎上し、ジョンは朦朧とした意識の中でショー刑事にバイバイマンの名前を漏らしてしまいます。

キャストと製作

本作にはダグラス・スミス、クレシダ・ボナス、ルシエン・ラヴィスカウント、ジェナ・カネルなどが出演。2014年にディメンション・フィルムズが配給権を獲得した後、STXエンターテインメントが引き継ぎ、2015年にオハイオ州クリーブランドで撮影が行われました。公開日は幾度か変更され、最終的に2017年1月13日に全米公開されました。

興行収入と評価

公開初週末には1350万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキングで4位となりました。しかし、批評家の評価は低く、Rotten Tomatoesでは批評家支持率24％、Metacriticでは加重平均値37/100と、厳しい評価を受けています。

『バイバイマン』は、名前を知るだけで恐怖が現実となる、禁断の物語です。その衝撃的な展開と絶望的な結末は、観る者に深い印象を残すことでしょう。

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