バウハウス

バウハウス：モダニズムデザインの源流

バウハウスは、1919年、ヴァイマル共和政下のドイツ・ヴァイマルで設立された美術学校です。「建築の家」を意味するドイツ語「Bauhaus」は、中世の建築職人組合を現代的に表現したもので、初代校長ヴァルター・グロピウスによって名付けられました。

世界に影響を与えた14年間

わずか14年間の活動期間でしたが、バウハウスは現代デザインに多大な影響を与えました。工芸、写真、デザイン、建築など、美術に関する総合的な教育を行い、無駄を省いた合理的なデザインを追求するモダニズムの礎を築きました。大量生産に適したシンプルで機能的なデザインは、20世紀のデザイン界に革命を起こしました。

複雑な歴史と教育理念

バウハウスの歴史は、その運営方法や教育理念の変化に富んでいます。当初は合理主義と表現主義が混在していましたが、ワシリー・カンディンスキーやピエト・モンドリアンの影響を受け、次第に合理主義、機能主義的な方向へと傾斜していきました。これは工業デザインや大量生産の台頭と合致し、バウハウスのデザイン手法は世界へと広がっていきました。

ヴァイマルからデッサウへ、そして閉鎖へ

バウハウスは、設立当初ヴァイマルにありましたが、1925年にデッサウに移転しました。グロピウス設計によるデッサウ校舎はモダニズム建築の代表作として知られています。しかし、政治的な圧力も受けました。左翼的であるとの批判もあったものの、グロピウスは政治的中立を主張しました。ハンネス・マイヤー校長時代には共産党細胞の結成が問題となり、ナチスの圧力も強まりました。最終的に1933年、ナチス政権により閉鎖されました。

バウハウスの継承と現代への影響

バウハウス閉鎖後も、その影響は世界中に広がっていきました。モホリ＝ナジ・ラースローはアメリカでニュー・バウハウスを設立、その教育はシカゴ芸術産業協会を経てイリノイ工科大学へと受け継がれました。近年では、EUが「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス」構想を発表するなど、その理念は現代社会の課題解決にも活かされようとしています。ドイツでは、ヴァイマル校舎はバウハウス大学ヴァイマルとして再興され、現代美術教育の中心地となっています。

バウハウスと日本

日本からは水谷武彦、山脇巌・道子夫妻らがバウハウスに留学し、帰国後は日本の美術教育に貢献しました。特に山脇巌は戦後、日本大学芸術学部でバウハウスの教育理念に基づいたカリキュラムを導入、日本のデザイン教育の礎を築きました。また、大阪市立工芸高等学校本館は、バウハウス校舎の影響を受けた建築として知られています。

バウハウスの遺産

バウハウスは、単なる美術学校ではありませんでした。その合理的なデザイン、機能主義的な思想は、現代社会のあらゆるデザインに影響を与え続けています。建築、工業デザイン、グラフィックデザイン、写真など、様々な分野に痕跡を残し、私たちの生活を豊かにする多くの製品を生み出しました。その功績は、1996年の世界遺産登録にも顕著に表れています。バウハウスの遺産は、これからも未来へと継承されていくでしょう。

関連人物

ヴァルター・グロピウス
ミース・ファン・デル・ローエ
パウル・クレー
ヨハネス・イッテン
ワシリー・カンディンスキー
モホリ＝ナジ・ラースロー
* 多くの著名な芸術家、デザイナー、建築家

関連書籍

バウハウスに関する書籍は数多く存在します。日本語で読めるものとしては、バウハウス叢書、各関連人物の著作、展覧会図録などがあります。入門書から専門書まで、様々なレベルの書籍が出版されているので、興味に合わせて選ぶことができます。これらの書籍を通して、バウハウスの更なる魅力に触れることができるでしょう。

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