バウロン

バウロン（bodhrán）は、アイルランド音楽に用いられる伝統的なフレームドラムです。アイルランド語の発音に由来し、ボウローンとも呼ばれます。日本では「ボドラン」や「ボーラン」といった名前で紹介されることもありますが、これらはアイルランド語の発音規則に沿ったものではありません。

名称の由来

バウロンという名前は、ゲール語の「bodhár（鈍い響き、耳の遠い人）」に由来しています。

楽器の構造

バウロンのサイズは様々で、直径25cmから65cmまでありますが、一般的には35cmから45cmのものが使われます。枠（リム）はトネリコの木で作られ、その片面にヤギ、鹿、グレイハウンド、驢馬、馬などの皮が青銅の鋲で固定されています。枠の高さは約12cmです。撥（ビーター）はヒイラギやヒッコリーで作られ、長さ約20cmで両端に握りがあります。

奏法

バウロンは、撥を鉛筆のように持ち、手首を回転させて撥の下端を打面に打ち付けて演奏します。撥の持つ位置によって、ケリースタイル（ダブルエンドスタイル）とシングルエンドスタイル（トップエンドスタイル）の2つの奏法に分けられます。

ケリースタイル: 撥の中心近くを持ち、撥の下端、上端、下端の順に打面を叩いてトリプレットでロールを行います。
シングルエンドスタイル: 撥の上端近くを持ち、撥を素早く動かしてロールを行います。シングルエンドスタイルでは、軽い撥が用いられることが一般的です。

撥の材質、重さ、持つ位置、打面裏から添える手の位置、打面を押す強さ、撥で叩く場所によって、音色や音高が変化します。バウロンは、アイルランド音楽の旋律に調和するように演奏されます。

バウロンの演奏のポイント

バウロンの演奏は、単にリズムを刻むだけでなく、音色や音高を細かくコントロールすることで、音楽に豊かな表情を加えることができます。撥の持ち方や叩き方を変えることで、様々な音色を出すことができ、演奏者の個性が際立ちます。また、打面裏の手の位置や圧力を調整することで、音の響きを変化させることも可能です。これらの技術を駆使することで、バウロンはアイルランド音楽において、メロディーを彩る重要な役割を担っています。

著名な演奏者

バウロンの著名な演奏家としては、以下の名前が挙げられます。

Johnny "Ringo" McDonagh
John Joe Kelly
Eamon Murray

参考文献

『アイルランド音楽事典』（いとう ごお 編著、日本楽譜出版社）

バウロンは、アイルランド音楽に欠かせない楽器であり、その独特な音色と奏法は、多くの人々を魅了しています。

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