バウ・ワウ・ワウ

ボー・ワウ・ワウ：ニューウェーブの反逆児たち

1980年代初頭、イギリスの音楽シーンに突如現れたボウ・ワウ・ワウは、その鮮烈な音楽性と、常識にとらわれない姿勢で、瞬く間に注目を集めたニューウェーブバンドです。その誕生には、ポストパンクバンド、アダム＆ジ・アンツのマネージャーとして知られるマルコム・マクラーレンの戦略が大きく関わっています。彼はアダム・アント以外のメンバーを引き抜き、新たなバンドを結成。ボーカルには、クリーニング店で歌を歌っているところをスカウトされた、14歳のアナベラ・ルーウィンを抜擢しました。彼女はビルマ人の父とイギリス人の母を持つハーフで、そのエキゾチックなルックスと圧倒的な歌唱力、そして若さから放たれるエネルギーは、ボウ・ワウ・ワウの大きな魅力となりました。

1980年、カセットテープのみでリリースされたデビュー作『Your Cassette Pet』は、レコードに変わる新たな音楽体験を提示。当時、アメリカではカセットテープがレコード市場を席巻しつつあったため、先見性ある戦略と言えるでしょう。その後、レコードでも発売され、彼らの独特な音楽性が広く知られるようになりました。

1981年発表のアルバム『ジャングルでファン・ファン・ファン (See Jungle! See Jungle! Go Join Your Gang Yeah, City All Over! Go Ape Crazy!)』は、彼らの代表作として名高い作品です。このアルバムでは、ジャングル・ビートと呼ばれる斬新な音楽スタイルが存分に見られ、イギリスのみならず、日本でも大きな人気を獲得。資生堂のCMにも起用され、日本のファンを魅了しました。しかし、アルバムジャケットに掲載されたアナベラ（当時15歳）の裸写真は、彼女の母親から問題視され、発売延期という事態にまで発展しました。この騒動もまた、彼らの型破りなイメージを確固たるものにしたと言えるでしょう。

1982年には、マッドネスとのジョイントコンサートツアーで来日を果たし、日本での人気をさらに不動のものにしました。しかし、1983年には一旦解散。その後、メンバーチェンジを繰り返しながらも、現在まで活動を継続しており、2024年現在もその独特の音楽性でファンを魅了し続けています。

メンバーの変遷

ボウ・ワウ・ワウの歴史において、メンバーの入れ替わりは頻繁に行われてきました。初期メンバーとして、アナベラ・ルーウィン（ボーカル）、デイヴ・バルバロッサ（ドラム）、マシュー・アッシュマン（ギター）などがおり、彼らの才能がバンドの基盤を築きました。しかし、マシュー・アッシュマンの死去や、様々な理由によりメンバーは入れ替わり、現在のラインナップに至っています。

長年に渡りバンドの中核を担ってきたアナベラ・ルーウィンは、現在もボーカルとして参加しており、その存在はバンドの象徴と言えるでしょう。彼女と共に、現在のメンバーたちが、ボウ・ワウ・ワウの音楽を未来へと繋いでいくことでしょう。

豊富なディスコグラフィー

ボウ・ワウ・ワウは、スタジオアルバム、EP、シングル、コンピレーションアルバムなど、数多くの作品を発表しています。『ジャングルでファン・ファン・ファン』や『アフロディジアック (When the Going Gets Tough, The Tough Get Going)』といった代表作の他、多くのシングルヒットも生み出しました。「I Want Candy」は彼らの代表曲として広く知られており、時代を超えて愛される名曲となっています。これら膨大な作品群は、彼らの音楽的探求と、時代を反映した多様な音楽性を物語っています。

彼らの音楽は、ニューウェーブの枠にとどまらず、パンク、ポップ、そしてワールドミュージックの要素も取り入れ、独自のサウンドを創造しました。革新的で型破りな姿勢、そして時代を先取りする音楽性は、現代においても多くのリスナーを魅了し続けています。ボウ・ワウ・ワウの音楽は、音楽史に刻まれた、忘れがたい1ページと言えるでしょう。

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