バクー・スプサパイプライン

バクー・スプサパイプラインの概要

バクー・スプサパイプライン（Baku–Supsa Pipeline）は、アゼルバイジャンのバクーからジョージアのスプサ港までを繋ぐ原油の輸送路です。このパイプラインは全長833キロメートル（518マイル）で、カスピ海に位置するアゼリ・チラグ・グネシュリ油田（ACG）からの原油を輸送する役割を担っています。運営はBP（ブリティッシュ・ペトロリアム）が行っています。

歴史的背景

このパイプラインの建設計画は1994年から始まり、1996年3月8日にはアゼルバイジャンのヘイダル・アリエフ大統領とジョージアのエドゥアルド・シェワルナゼ大統領が合意に至りました。同年、アゼルバイジャン国際事業会社、アゼルバイジャン国営石油会社（SOCAR）、ジョージア政府の間で公式に署名が交わされました。その後、主契約社としてノルウェーのクバーナーが選定され、パイプラインの建設が進められました。

1998年にパイプラインは完成し、1999年4月17日にはスプサ石油出荷基地のオープニングセレモニーが行われました。このプロジェクトは総額5億5600万米ドルの費用がかかったとされています。

様々な出来事

しかし、このパイプラインはその後も多くの試練を経験しました。2006年には検査中に異常が見つかり、石油輸送が停止されました。修理と交換が行われ、特にジョージアのゼスタポニとアゼルバイジャンのクラ川交差地点のパイプライン部分が影響を受けました。この修復工事は5300万米ドルの費用を要し、2008年6月には輸送が再開されました。

その後、2008年8月にはバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインの爆発により、バクー・スプサパイプラインが重要な役割を果たしました。また、同年南オセチア紛争が起きたため、BPは再びスプサパイプラインを一時的に閉鎖せざるを得ませんでした。さらに、2012年夏には保守点検のための1か月間、輸送が停止しました。

2015年には、オルチョサニ近くでロシア連邦軍が国境標識を設置し、パイプラインの一部を実質的に占拠する事態が発生しました。アナリストたちは、これはジョージアのNATO加盟への対応として評価しています。

技術的な特徴

バクー・スプサパイプラインは、旧ソビエト連邦時代のパイプラインを改装したもので、その技術的な構造には6か所のポンプステーションと2か所の減圧ステーションが設置されています。また、スプサ石油出荷基地には4基の貯蔵タンクがあり、合計で16万立方メートルの原油を貯蔵できる能力があります。

関連パイプライン

バクー・スプサパイプラインは他の重要なパイプラインとも密接に関連しており、特にバクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインやバクー・ノヴォロシースクパイプラインが挙げられます。これらのパイプラインは地域のエネルギー輸送において重要な役割を果たしており、アゼルバイジャンやジョージアの経済に大きな影響を与えています。

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