バクー地下鉄

バクー地下鉄：歴史と現在

バクー地下鉄は、アゼルバイジャンの首都バクーを走る地下鉄であり、その歴史はソビエト連邦時代に遡ります。1967年に開業して以来、バクーの都市発展とともに成長し、市民の足として欠かせない存在となっています。

歴史

19世紀末、カスピ海での石油発見をきっかけに、バクーは急速に発展しました。1930年代には、アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国の首都となり、南コーカサス最大の都市へと成長。都市開発の総合計画に基づき、地下鉄建設の構想が浮上しました。

第二次世界大戦中、バクーはドイツ軍の侵攻を免れ、コーカサスの戦略的拠点として発展を続けました。人口が100万人を超えた1947年、ソビエト閣僚会議は地下鉄建設を正式に承認。1951年に工事が開始され、1967年11月6日、十月革命50周年を記念して、ソ連で5番目の地下鉄としてバクー地下鉄が開業しました。

バクーの地形的な特徴から、バクー地下鉄の路線網は、典型的な三角形ではなく、2本の楕円状の路線が市の中心部で交差する構造となっています。路線は段階的に延伸され、1970年代から2011年まで、駅が開業しています。

しかし、1990年代には、ソビエト連邦の崩壊やナゴルノ・カラバフ戦争などの影響で、建設工事が停滞。1994年にはテロ事件、1995年には火災事故が発生し、多くの犠牲者が出ました。

2000年代に入り、建設工事が再開。欧州連合からの資金援助も受け、2008年から2011年にかけて、2号線の北端区間が開通しました。

路線と駅

バクー地下鉄には、公式には1号線と2号線の2路線があります。しかし、相互乗り入れ運転が行われているため、運転系統は複雑です。1号線は、Həzi Aslanov駅からİçərişəhər駅までの区間と、支線となるBakmil駅からの区間が運行されています。2号線は、Həzi Aslanov駅から28 May駅を経由してDərnəgül駅までを結びます。また、2号線の支線として、Şah İsmail Xətai駅とCəfər Cabbarlı駅を結ぶシャトル路線があります。

28 May駅は、バクー鉄道駅とも接続する乗換駅であり、多くの人が利用します。2号線のŞah İsmail Xətai駅とCəfər Cabbarlı駅を結ぶシャトル路線は、Cəfər Cabbarlı駅から発着し、構内で28 May駅と接続しています。

特徴

バクー地下鉄の駅は、ソ連時代の名残である豪華な装飾が特徴的です。駅の多くは地下深くに建設されており、核シェルターとしての機能も兼ね備えています。近年では、駅の入り口が改築され、ガラス張りのモダンなデザインとなっています。

車両

バクー地下鉄では、Ezh3型やEm-508型などの古い車両に加え、81-717/714型などの比較的新しい車両が使用されています。

乗車券

2006年からは、RFID方式のカードシステムが導入され、乗車券として利用されています。カードはチャージ式で、1回の乗車料金は0.2マナトです。

事故

1994年には、地下鉄内で爆破事件が発生し、多くの犠牲者が出ました。

バクー地下鉄は、バクー市民の生活を支える重要な交通機関であるとともに、その歴史と建築様式は、バクーの文化遺産として高く評価されています。

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