バグラティ大聖堂

バグラティ大聖堂

バグラティ大聖堂は、ジョージアのイメレティ地方に位置する古都クタイシにあり、11世紀初頭のグルジア王バグラト3世によって建てられました。この大聖堂は、グルジア正教会の生神女就寝祭を記念する重要な宗教的施設であり、多くの人々が信仰の象徴として尊んできました。

大聖堂は、Ukimerioniの丘の上に荘厳に構え、その名はバグラト王に由来しています。歴史的な碑文によって、平坦な床石が西暦1003年に設置されたことが確認されており、これによりその長い歴史の一端が明らかとなります。特にその建築スタイルは、中世のグルジア建築の最高峰として評価されています。

しかしながら、歴史は常に興味深いものであり、大聖堂は1691年にオスマン帝国軍による攻撃を受け、大きな被害を受けました。特に丸屋根や天井が崩壊し、その結果、建物は廃墟と化しました。これによりバグラティ大聖堂は長年放置され、当時の美しさを失うことになりました。

その後、1952年に保存と修復のプロジェクトが立ち上げられ、長い年月を経て建物は再び姿を整えていきました。2001年には、ジョージア正教会に正式に聖堂として復帰し、現在では限られた回数の奉神礼にも使用されています。とはいえ、依然としてこの地のシンボルとして多くの巡礼者や観光客を引きつけているのです。

バグラティ大聖堂は、1994年にゲラティ修道院と共に「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」としてユネスコの世界遺産に登録されました。これらの建物は、中世グルジアの建築技術を示す貴重な存在として高く評価されました。しかし、建物の再建に関する懸念から、次第にその真正性が問われるようになり、2010年には危機遺産リストに登録される事態となりました。これは、再建計画が文化遺産としての価値を損なう恐れがあるとされたためです。

世界遺産委員会はその再建計画の即時撤回を求めましたが、残念ながら工事は続行されてしまいました。2015年の第39回世界遺産委員会での審議では、ゲラティ修道院の単独登録が議論されましたが、バグラティ大聖堂の登録抹消は見送られました。さらに、2017年の第41回世界遺産委員会では、ついにゲラティのみに世界遺産として登録され、バグラティ大聖堂はリストから除外されるという結果に至りました。

バグラティ大聖堂の歴史は、単に美しい建物の物語だけではなく、文化の保存と再生の難しさを物語っています。これからも多くの人々の心に影響を与え続けることでしょう。

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