バサ (魚)

バサ (Pangasius bocourti) の概要

バサ（Pangasius bocourti）は、ナマズ目パンガシウス科に属する淡水魚で、東南アジア、特にインドシナ半島のメコン川やチャオプラヤ川流域を原産としています。この魚はその肉の美味しさから食用として重用されており、大規模な養殖が行われています。具体的には、ベトナムでは「Cá ba sa（カーバサ）」と呼ばれ、水産資源としての重要性から輸出品としても非常に大きな役割を果たしています。

表記と市場での状況

バサは北アメリカやオーストラリアでは「basa fish」や「bocourti」として知られていますが、イギリスでは「river cobbler」や「catfish」といった名称で法的に取り扱われています。日本では主に「ベトナム産養殖ナマズ」や「バサ」、「パンガシウス」と表記されており、スケトウダラなどの他の白身魚が価格上昇や供給不足に直面する中、代替品としての輸入と販売が増加しています。

形態

バサは特徴的な体型を持ち、腹部が特に厚みを増しています。その体側筋が可食部であり、増加した肉厚が魅力となっています。丸みを帯びた扁平な顔立ちには、肉髭と白い線があり、幅広い口吻を形成しています。成長すると全長は約120センチメートルになります。

生態

バサの主な食物源は植物であり、主に洪水期の前に産卵を行います。幼魚は6月頃から見られ、その成長は迅速で、6月の中旬には平均約5センチメートルに達します。

アメリカ合衆国における「ナマズ戦争」

2002年、アメリカ政府はベトナムからの輸入の不当廉売を問題視し、ナマズ養殖業協会からの圧力がありました。米国市場ではバサや他のナマズ類の記載に新しい法律が導入され、バサは「basa fish」として販売されることになりました。この政争は続き、ベトナム政府に対する批判が高まり、アメリカ市場でのパンガシウス属の輸出は2016年に17億ドルに達しました。

イギリスでの取り扱い

イギリスではバサが「Vietnamese river cobbler」として販売されており、これは白身魚の安価な代替品として需要を集めています。しかしながら、いくつかの業者では不正表示が見られ、フィッシュ・アンド・チップスの業者がバサをタラとして販売している事例があり、訴訟に発展したこともあります。

環境及び健康への懸念

バサの養殖に関しては、環境団体からの懸念もあります。特に海洋生態系への影響について警告されており、洗浄基準や養殖方法が問題視されています。たとえば、バンクーバー水族館の関連団体は、バサの養殖が野生種に対して脅威を与える可能性があると指摘していますが、イギリスの大手スーパーマーケットでは購入に際しての毒性物質の検査で問題が見られない報告もあります。

バサは珍しい淡水魚であり、市場での役割や環境問題への懸念など、多くの側面が関わる存在となっています。

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