バシリカ・ユリア

バシリカ・ユリアは、古代ローマの政治・経済の中心地であったフォルム・ロマヌムに建てられた壮大な公会堂（バジリカ）です。フォルムの中央広場から見て、聖なる道（ウィア・サクラ）を挟んだ南側に位置していました。

歴史

バシリカ・ユリアの建設は、紀元前54年にガイウス・ユリウス・カエサルによって開始されました。これは、彼がガリア戦争で得た莫大な戦利品を資金源としたものでした。建設地は、以前に存在したバシリカ・センプロニアが取り壊された跡地を利用しています。紀元前46年には一部が使用可能となりましたが、建物の完成はカエサルの死後、後継者であるアウグストゥスの時代に持ち越されました。

しかし、完成後まもなく火災に見舞われ、大きな被害を受けました。紀元12年には修復と拡張が行われましたが、その後も再び火災に見舞われました。238年には、当時の皇帝ディオクレティアヌスによって改築が行われたことが記録に残っています。

機能

バシリカ・ユリアは、主に民事裁判所として使用されました。施設内には、タベルナ（食堂）や官公庁の事務所も併設されていました。特に、百人法廷（ケントゥムビリ）と呼ばれる特別民事裁判所の会場として有名で、遺産相続に関する訴訟が数多く審理されました。小プリニウスの書簡には、新たな妻を迎えた10日後に亡くなった80歳の男性が、訴訟を起こした女性アッティア・ヴィリオラを相続人から除外したことの是非を審理した例が記録されています。

また、バシリカ・ユリアはローマ市民の集会所としても活用され、そのための部屋や店舗も存在しました。しかし、その本来の目的は裁判所の法廷としての利用でした。ポルチコ（列柱廊）の床には、8×8のマス目が刻まれた箇所があり、市民がチェスやチェッカーのようなゲームを楽しむ場所としても利用されていたようです。

衰退

410年、西ゴート族のアラリック1世によるローマ略奪によって、バシリカは破壊され、廃墟となりました。7世紀から8世紀にかけて、その残存部分が教会として利用された形跡が残っています。

現在

現在、バシリカ・ユリアは周囲よりも1メートルほど嵩上げされた、101メートル×49メートルの長方形の基礎部分のみが残っています。聖なる道に面した側には、階段状の基盤が残っています。建物を支えていた柱や壁は、北西角にわずかな壁とともに残存する円柱数本を除き、ほとんどが失われています。バシリカの中央には82メートル×16メートルの広さを持つ大広間があり、周囲は7.5メートル幅の大理石の円柱で支えられた柱廊で囲まれていました。

関連項目

フォルム・ロマヌム
ローマ市内の古代ローマ時代のバジリカ
バシリカ・アエミリア
バシリカ・ウルピア
* マクセンティウスのバジリカ

参考文献

[参考文献]は必要に応じて記載

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