バジル・デューク

バジル・ウィルソン・デュークの生涯

バジル・ウィルソン・デューク（Basil Wilson Duke, 1838年5月28日 - 1916年9月16日）は、南北戦争における南軍の将軍として知られています。彼は、義兄弟であるジョン・ハント・モーガンの部隊で副指揮官を務め、その騎兵戦術で名を馳せました。戦後は歴史家として、南軍の記録を編纂し、その経験を後世に伝える役割を果たしました。

生い立ちと初期の経歴

デュークはケンタッキー州スコット郡で生まれました。父ナサニエルと母メアリーの間に生まれた一人っ子です。身長は178cmとすらりとした体格で、良く響く声を持っていたと伝えられています。彼の親族は、デュークを「騎士道と現実主義が同居する、まるで17世紀から来たような人物」と評しました。

両親を早くに亡くしたデュークは、ジョージタウン大学、センター大学で学んだ後、トランシルバニア大学で法律を学びました。1858年に卒業後、セントルイスで弁護士としてのキャリアをスタートさせました。当時、セントルイスには多くの弁護士がいたため、デュークは自身の従兄弟であるバジル・デュークが開業していた事務所に加わりました。

南北戦争での活躍

1861年に南北戦争が勃発すると、デュークはミズーリ州での南軍支持運動に参加しました。彼は、脱退を支持する組織「ミニット・メン」を設立し、その指導者として活動しました。しかし、この活動は北軍によって鎮圧され、彼は南軍に加わることを決意します。

デュークは、ジョン・ハント・モーガンの妹であるヘンリエッタ・ハント・モーガンと結婚し、モーガン部隊に入隊しました。彼は、モーガンのもとで騎兵戦術の訓練を受け、数々の襲撃作戦に参加しました。シャイローの戦いでは重傷を負いながらも、その後、中佐、大佐へと昇進しました。

1863年のモーガン襲撃では、バッフィントン島の戦いで捕虜となりました。一時的に他の南軍兵士を逃がすために、遅延行為を行う部隊を率い、その間に捕虜となりました。彼は、捕虜交換で釈放されるまで数ヶ月間を収容所で過ごしました。モーガンの戦死後、デュークは部隊の指揮を引き継ぎ、准将に昇進しました。彼は、連合国大統領ジェファーソン・デイヴィスがリッチモンドを離れる際に護衛を務めました。1865年5月10日にジョージア州ワシントンで北軍に降伏しました。

デュークは、部下に対して穏やかに命令を下すことで、兵士たちとの信頼関係を築きました。彼は、戦闘を愛し、困難な局面でも揺るがない、洗練された士官として知られていました。

戦後の生活と歴史家としての活動

戦後、デュークはルイビルに移り、弁護士として再出発しました。彼は、主要な顧客であるルイビル・アンド・ナッシュビル鉄道の法律顧問として活躍しました。1869年から1870年にはケンタッキー州議会議員を務めましたが、利益相反を理由に辞任しました。

デュークは、南北戦争の歴史を後世に伝える活動に力を注ぎました。1884年にフィルソン・クラブ歴史協会を設立し、雑誌「サザン・ビバーク」を編集しました。彼は、『モーガン騎兵隊の歴史』、『ケンタッキー銀行の歴史』、『バジル・W・デューク将軍の回顧録』など、多くの著作を残しました。

デュークは、南軍の経験をありのままに記述し、奴隷制を擁護することはありませんでした。彼は奴隷制の廃止を支持しましたが、北部での奴隷に対する過度な虐待の主張には懐疑的でした。

1900年以降、デュークは公的な生活から引退しました。1904年には、セオドア・ルーズベルト大統領からシャイロー国立軍事公園のコミッショナーに任命されました。晩年は、娘とその家族とともに暮らし、1916年にマサチューセッツ州で娘を訪れている最中に死去しました。彼は、レキシントン墓地のハント家の区画に、ジョン・ハント・モーガンの前に埋葬されました。

デュークの永続的な名声は、南軍の軍事史の作家としての功績によって築かれています。彼の著作は、南北戦争の歴史を深く理解するための貴重な資料となっています。

彼の生涯は、南軍の将軍としてだけでなく、歴史を深く愛した人物としての功績を物語っています。

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