バスター

バスターについての解説

バスターとは、野球やソフトボールにおいて、打者がバントの構えで打席に立ち、投手が投球動作に入った後にヒッティングに切り替えた打法のことです。この技術は、ピッチャーの投球に合わせて攻撃の形を変える戦術的な要素を持っており、相手投手と守備陣に対して意表を突く狙いがあります。

バスターの由来

「バスター」という名称は、実は和製[[英語]]であり、その英語に相当する言葉としては「slash bunt」、「fake bunt and swing」、「butcher boy」、「slug bunt」などが存在します。日本での「バスター」という用語が使われるようになったのは、1965年に遡ります。当時、読売ジャイアンツがアメリカ・フロリダ州でドジャースのキャンプに参加した際の出来事に起因しています。ジャイアンツのヘッドコーチである牧野茂が、ドジャースの三塁コーチ プレストン・ゴメス と共に練習を観察していた際、バントの体勢からヒッティングに切り替える選手を目撃し、ゴメスが「Oh! Bastard!」と叫んだのです。これを牧野が「バスター」と勘違いして日本に持ち帰り、その結果、日本野球界に誤った名称が広まってしまいました。後にゴメスは、これは冗談として「結構やるじゃないか」という意味だったと説明したとも言われています。

バスターという呼称が普及する前は、「プッシュ打法」という言葉が使われていたこともありました。

バスターの基本的な戦術

バスターを成功させるためには、まず打者がバントを試み、相手チームがその動きに対応してバントシフトを敷く必要があります。このバントシフトは、バントを阻止するための守備陣形ですが、打者がそこからヒッティングに切り替えることで、シフトの隙を突くことができます。また、バントを装うことで、相手投手に打ちやすい球種を投げさせることも目的とされています。さらに、バスターとヒットエンドランを組み合わせたバスターエンドランという戦術も広く利用されており、これにより追加の攻撃機会を創出します。

バスター打法の効果と特性

バスター打法では、投手からリリースされた球が見やすくなり、テイクバックを小さくすることによってコンパクトなスイングが実現します。これにより、バッターは振り遅れるリスクが減少します。しかし、長打を狙うには不向きで、選球眼に課題がある選手にとって特に有効な手法とされています。また、選手がフォームの調整やタイミングの微調整を行うためにも、バスターは重宝されることがあります。

B プロ野球における実績

NPB（日本プロ野球）では、バスターからホームランを打った例もあります。例えば、2006年9月2日の試合では、広島市民球場でリック・ガトームソンがバスターから本塁打を打ったことで話題になりました。また、2015年には清田育宏がロッテと巨人の交流戦で、2016年には細川亨がソフトバンク対楽天戦で、2020年には荒木貴裕がヤクルト対阪神戦で、いずれもバスターから本塁打を放っています。

その他の関連打法

バスターと技術的な関連は薄いですが、選手が打撃時に利き手と反対の手でバットの中程を持つ構えは「天秤バスター打法」とも呼ばれ、福留孝介や松本哲也らの選手がこのスタイルを使用していることで知られています。

このように、バスターは野球において非常に戦略的な打法であり、誤解から名付けられた興味深い歴史を持っています。

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