バソリス

バソリス（batholith）は、地球の深部で形成される大規模な深成岩体であり、日本語では底盤とも呼ばれます。その語源は、ギリシャ語の「bathy（深い）」と「lith（岩）」に由来し、文字通り「深い場所の岩」を意味しています。

バソリスは、地下5〜30キロメートル程度の深さで、マグマがゆっくりと冷却・固化して形成されます。この過程で、マグマは周囲の岩石を貫入し、広大な範囲にわたって岩体を形成します。バソリスの定義として、その面積が100平方キロメートル以上である必要があります。巨大なものでは、直径が500キロメートルを超えるものも存在します。ただし、バソリスは単一の岩体ではなく、複数の貫入岩体が集合して構成されていると考えられています。

バソリスを構成する岩石は、主に花崗岩またはそれに近い組成のものが中心です。花崗岩は、石英、長石、雲母などの鉱物から構成され、ゆっくりと冷却されることで結晶が大きく成長するのが特徴です。

バソリスの構造について、特にその底部の形状は、まだ完全には解明されていません。地表に露出している部分は観察できますが、地下深部の構造を直接的に把握することは困難であるためです。そのため、地質学的な調査や地球物理学的な探査が用いられています。

日本国内では、岐阜県北部から富山県南部にかけて分布する船津花崗岩が、最古のバソリスとして知られています。このバソリスは約1億8000万年前のジュラ紀前期に形成されたと考えられており、当時の地殻変動やマグマ活動を研究する上で重要な資料となっています。

バソリスは、火成岩の一種であり、その中でも深成岩に分類されます。火成岩は、マグマが冷却・固化してできた岩石の総称であり、深成岩はマグマが地下深部でゆっくりと冷却・固化したものです。深成岩の代表的なものとして、他に閃緑岩、斑れい岩などがあります。バソリスは、地殻の形成や進化において重要な役割を果たしており、その研究は地球科学の分野で重要な位置を占めています。バソリスを構成する岩石を調べることで、当時のマグマの組成や地球の深部の状態について知ることができます。

バソリスは、その規模の大きさから、地質調査や資源探査の対象となることもあります。地下資源の分布を把握するために、バソリスの構造や分布を理解することは不可欠です。また、バソリスは、地熱発電のポテンシャルを持つ場所としても注目されています。地下深部の高温の岩体を活用することで、再生可能エネルギーを得ることができます。

以上のように、バソリスは、地球の深部で形成される巨大な岩体であり、その成因や構造は地球科学における重要な研究テーマとなっています。

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