バタスナ

バタスナとは

バタスナ（Batasuna）は、スペイン北部のバスク地方を基盤とした民族主義政党です。設立当初からバスクの独立を目指す武装闘争を展開するテロ組織、バスク祖国と自由（ETA）との関わりが疑われています。特に、バタスナが発足した1978年を契機に、バスク地方の左翼民族主義者たちの間でその存在が注目されました。

流れと歴史

バタスナは1978年4月に設立され、当初は「エリ・バタスナ」（Herri Batasuna）という名称で知られていました。この名称は「人民の団結」を意味し、バスク語に由来します。日本語訳としては「人民連合」「大衆連合」「人民統一党」などがあります。

バスク人は、一般的なスペイン人やフランス人とは異なる独自の民族性を持ち、その言語であるバスク語もまたインド・ヨーロッパ語族に属しません。この背景が、バスク独立という思想を強める要因となり、バタスナは支持層を拡大していきました。バスク民族主義を掲げる他の政党には、比較的穏健なバスク民族主義党（PNV）がありますが、バタスナはより急進的な立場を取っていました。

1986年にバタスナは合法的な政党として認可され、バスク州やナバーラ州の議会選挙に候補者を立てて議席を獲得したのです。特にバスク州議会においては、PNVに次ぐ第2党としての地位を確立し、一部の市議会においては与党となるほどの影響力を持ちました。しかし、ETAの無差別テロ行為を支持する声も多く、社会での警戒感を引き起こしていました。

非合法化への道

ETAによる一般市民を巻き込んだテロ活動が頻発すると、それに対する反感が国中に広がりました。そのため、スペイン政府はバタスナの活動を非合法化する方向で動き出しました。バタスナは、非合法化を回避するためにETAとの関連を否定し、1998年には党名を「バスク市民」（Euskal Herritarrok）に変更しました。この改名に際して、表向きにはETAとの関係を断ち切ろうとする姿勢を示しました。

2001年5月のバスク自治州議会選挙では、前日に発生したマドリードでのテロ事件の影響を受け、バスク市民（EH）は議席を大幅に減少させましたが、それでも10%の支持を受け、7議席を確保しました。その後、2002年には再度名称を改め、バタスナに戻しました。

しかし、2002年6月4日、スペイン国会はテロ組織を支援する政党を非合法化する新たな法案を可決しました。8月26日には、295票の賛成でバタスナの非合法化手続きが開始され、その後、2003年3月17日にスペイン最高裁はバタスナを非合法化する旨の決定を下しました。

結論

バタスナの歴史は、バスク地区における民族主義運動の複雑な一面を示しています。合法的な政党として活動しながらも、ETAとの関係を完全には断ち切れず、その結果として非合法化に至るまでの経緯は、スペイン社会における民族問題の根深さと困難さを物語っています。

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