バタフライナイフ

バタフライナイフとは

バタフライナイフ、またはバリソンと呼ばれるこのナイフは、独特の構造を持つフォールディングナイフ（折り畳みナイフ）の一種です。一枚のブレード（刀身）に、二分割されたグリップ（柄）が特徴で、ブレードを挟み込むように収納します。開閉時には、二つのグリップがそれぞれブレード根本のピンを中心に約180度回転します。このユニークな開閉アクションが、バタフライナイフの大きな特徴であり、多くの愛好家を魅了する要因となっています。

構造と特徴

バタフライナイフの開閉操作には若干の習熟が必要ですが、慣れれば片手で素早く、そして便利に扱うことができます。もともとはフィリピンの武具に由来するとされており、その歴史は古く、刃物としての実用性と、独特の開閉アクションによる装飾的な側面を持ち合わせています。

ブレードは片刃であり、フォールディングナイフに分類されますが、グリップよりも長いブレードを持つものも存在します。このようなタイプのナイフは、刃先がグリップの末端から突き出すため、専用の鞘が必要となります。バタフライナイフは、リンゴの皮むきや鉛筆削りなど、日常的な用途にも使えますが、元々は武具であったため、青少年の所持を問題視する声も上がっています。

ロック機構は、二分割されたグリップを握ることで、ブレードの尾端にあるピンを挟み込み、ブレードを固定するシンプルな構造です。補助ロックが付いている場合もありますが、基本的にはバネを使用しないため、開閉の抵抗が非常に小さく、遠心力だけでも開閉が可能です。

安全性と危険性

バタフライナイフは、一見すると危険に見えるかもしれませんが、正しい使い方をすれば、それほど危険なものではありません。ハンドルをしっかりと握っていれば、ブレードが不意に折りたたまれることはありません。しかし、操作を誤ると、手を滑らせてナイフを落としたり、刃の部分で手を切ってしまう危険性も存在します。そのため、練習用の刃のないモデルも販売されています。

歴史と文化

バタフライナイフの起源は、フィリピンに遡ります。現在もバタンガス州では広く愛用されており、その歴史はスペイン統治時代にヨーロッパから伝わったとも考えられています。第二次世界大戦後には、アメリカ軍兵士が持ち帰ったことでアメリカでも広まり、若者を中心に人気を集めました。しかし、犯罪に使用されるケースも増えたため、多くの州で所持が禁止されました。日本では、有害玩具指定や業界の自主規制にとどまっています。

アメリカのナイフメーカーであるバリソン社は、バタフライナイフの製造で有名ですが、二度の倒産を経て、現在はベンチメイド社として活動を続けています。

社会問題

日本では、バタフライナイフは、ストリートギャングやモラトリアムファッションの象徴として、若者に携帯されることがあり、社会問題化しました。1997年にはテレビドラマ『ギフト』で主人公が使用したことで流行しましたが、その後、殺人事件に使用されたことから、社会的な批判を浴び、ドラマの再放送やDVD化の際に該当シーンに修正が加えられました。

まとめ

バタフライナイフは、独特な構造と操作方法を持つ魅力的なナイフですが、その歴史と社会的な背景を理解し、安全に扱うことが重要です。コレクションとして楽しむだけでなく、その歴史や文化にも触れることで、より深くバタフライナイフを知ることができるでしょう。また、バタフライナイフの構造上、長期間使用すると支点部分にガタつきが生じやすく、ブレードが安定しなくなることがある点も留意が必要です。

関連項目

ダガー
ゾンビナイフ

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