バッカス・ナウア記法

バッカス・ナウア記法について

バッカス・ナウア記法（BNF）は、文脈自由文法を定義するために用いられるメタ記法です。この記法は、一般にBNFやBNとも略され、さまざまなプログラミング言語やデータ形式の文法定義に利用されています。BNFは、ジョン・バッカスとピーター・ナウアの共同によって考案されたもので、特にALGOL 60の文法を表現するために用いられました。BNFの後、その機能を拡張したEBNF（拡張バッカス・ナウア記法）が主流となっており、正規表現を用いてより簡潔に文法を記述することが可能です。

BNFの基本構造

バッカス・ナウア記法は、導出規則を用いて文法を表現します。基本的な構造は、左辺に非終端記号を置き、右辺にその記号の定義や選択肢を示します。### 例として、以下のように表現されます：

```
::=
```

このルールでは、

• - ``は非終端記号です。
• - ``は選択肢や記号列を表します。
• - バーティカルバー（|）を用いることで、複数の選択肢を示すこともできます。

BNFを使った表記の中で、終端記号と非終端記号の違いを理解することが重要です。終端記号は文法の中で最終的に表現される記号であり、非終端記号は他のルールによって導出される記号です。これにより、文法の階層構造が明確に示されます。

EBNFと他の拡張

BNFは拡張可能であり、その一例としてEBNFがあります。EBNFでは繰り返しやオプションをより直感的に記述するための新しい記法が導入されました。例えば、`*`記号や`+`記号、角括弧`[]`などが使用され、文法が簡略化されます。これにより、EBNFは実用的な文法定義のための標準として広く採用されています。また、EBNFはISO/IEC 14977:1996で標準化され、様々なプログラミング言語やデータ交換フォーマットにおいて利用されています。

また、ABNF（拡張バッカス・ナウア記法）もBNFの一つの変種であり、特に通信プロトコルの定義に使われることが多いです。ABNFでは、BNFよりもさらに簡潔でわかりやすい記法が取り入れられていますが、その仕様はEBNFとは異なる部分もあります。

BNFの歴史

ジョン・バッカスは1959年にパリで開催された国際コンピュータ会議において、ALGOLの文法を表現するためのこの記法を発表しました。その後、彼の名前にちなんでバッカス・ナウア記法と呼ばれるようになりました。ピーター・ナウアは、バッカスの記法をさらにシンプルにすることで、記法の普及に寄与しました。バッカス・ナウア記法は、古代のサンスクリット語文法に関する理論に似ている点から、パーニニ・バッカス記法とも呼ばれることがあります。

BNFの応用

BNFとその拡張は、コンパイラの構文解析器を設計するために使用され、プログラミング言語の文法を明確に定義するための重要な手段です。また、INIファイルやXMLなどの構文定義にもこの記法が利用されています。これにより、複数のプラットフォームやシステム間で共通の文法を持つことができ、相互運用性を確保するのに役立ちます。

まとめ

バッカス・ナウア記法およびその拡張版であるEBNFは、文脈自由文法を定義するための強力なツールです。正確に文法を記述するための手段として、さまざまな技術領域で活用されています。この記法を用いることで、コンピュータプログラムやデータ形式の構造を明確化し、プログラミングやデータ解析の効率を向上させることが可能となります。

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