バックパック・ヘリコプター

バックパックヘリコプターとは

バックパックヘリコプターは、ヘリコプターのローターやモーターなどの主要部品を、人の背中に装着できるように設計された個人用飛行装置です。これにより、装着者は地上を自由に歩き回ることができ、必要に応じてそのまま飛行に移ることが可能になります。パラシュートハーネスのような構造で身体に固定し、特に飛行中に外れないように脚の間もストラップで固定するタイプが一般的です。

特徴

バックパックヘリコプターは、従来のヘリコプターとはいくつかの点で異なります。

テールローターの不在: 通常のヘリコプターのようなテールローターを持たず、代わりに二重反転式ローターを使用します。これにより、ヨーイング（回転運動）は、ローターを駆動するトランスミッション内のディファレンシャルギアの微調整によって制御されます。つまり、一方のローターがわずかに速く回転するように調整することで、機体の向きを制御します。
固定ピッチローター: ローターは固定ピッチで設計されており、構造がシンプルです。しかし、これはエンジン故障時にオートローテーション（ローターが風を受けて回転し、安全に着陸する技術）が利用できないことを意味します。そのため、多くのモデルには緊急着陸用のパラシュートが組み込まれています。

開発の歴史

バックパックヘリコプターの開発は、数多くの発明家によって試みられてきましたが、その成果は様々です。1969年には、ポピュラーサイエンス誌で、ローターの代わりにチップジェット構成で小型ジェットエンジンを使用したモデルが紹介されました。この設計は、オートローテーションが可能であるとされていました。

また、シートやレッグサポートを備えたバックパックヘリコプター型のデバイスも開発されています。これらは小型のオープントップヘリコプターとみなされ、ロケット推進ジェットパックよりも効率的で、より大きな比推力を持ち、推進ガスの速度が遅いため、ホバリングに適しています。

近年では、電気会社コプターパックが「セルフ=レベリング・オートパイロットを備えた電気バックパックヘリコプター」を開発し、テストビデオを公開しています。このデバイスは、カーボンファイバーチューブでバッテリーパック付きのバックパックに接続された2つのローターと、ハンドコントロール付きのアームレストで構成されています。

バックパックヘリコプターの種類

バックパックヘリコプターには、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

純粋なバックパック型: 文字通り、背中に背負うだけのシンプルな設計です。ヘリオフライ、ペンテコステ HX-1 ホッピコプター、RHYME Strap-on Helicopterなどがこのタイプに該当します。
座席付きタイプ: バックパック型に座席やレッグサポートを追加したタイプです。ソロトレック XFV、マーティン ジェットパック、ヴォルテック、GEN H-4などがこのタイプに該当します。

その他の関連情報

バックパックヘリコプターに関連する技術や概念として、以下のようなものがあります。

ジェットパック: 個人の移動手段として開発された、背負い式のロケット推進装置です。
エアカー: 空を飛ぶことができる自動車で、バックパックヘリコプターとは異なるアプローチで個人の空の移動を実現しようとしています。
超軽量動力機: 規制が緩く、比較的容易に個人が飛行できる小型航空機です。
ジャイロダイン: ヘリコプターと固定翼機の特性を併せ持つ航空機の一種で、ローターとプロペラを使用します。

バックパックヘリコプターは、SFの世界で描かれてきた個人の空の移動手段を実現する可能性を秘めており、その開発は今も続いています。

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