バッドフォーミー

バッドフォーミー

「バッドフォーミー」は、日本のバンド、Official髭男dismが手掛けた楽曲です。2018年8月6日にポニーキャニオンから配信限定シングルとしてリリースされました。この楽曲は、テレビ大阪およびBSジャパンで放送された真夜中ドラマJ『グッド・バイ』の主題歌として使用され、作品世界に彩りを添えました。

制作背景

本楽曲がドラマ『グッド・バイ』の主題歌に決定した背景には、興味深い経緯があります。2018年初頭に完成したデモ音源をドラマの監督が耳にした際、「この曲をぜひ主題歌に」と強く希望したことがきっかけでした。監督は、楽曲に宿る「非常に純粋でピュアな感情と、それを斜めに受け止めようとするような少し荒れた感覚」のコントラストに深く心を掴まれたと述べています。また、ドラマの主人公である田島毛と別所の二人の心情を歌っているように感じたことも、主題歌への起用を決定づける要因となりました。バンドメンバーの楢﨑誠（B/Sax）は、当初のデモが持っていた雰囲気とドラマの雰囲気が自然に合致していたと語っていますが、意図的に合わせたわけではない偶然の一致であったことも明かしています。

リリースと収録

2018年8月6日の配信リリースと同時に、楽曲のショートバージョンのリリックビデオも公開されました。その後、この楽曲は同年10月17日に発売されたEP『Stand By You EP』に収録され、これが楽曲にとって初のCD化となりました。さらに、2019年10月9日にリリースされた3rdスタジオ・アルバム『Traveler』にも改めて収録され、より多くのリスナーに届けられる機会を得ました。

楽曲の特徴

サウンド面では、ホーンセクションとしてサックス、そしてパーカッションが積極的に取り入れられている点が特徴的です。楢﨑はテナーサックスの演奏について、「ボーカルとの音域的なバランスが良く、吹いていて非常に気持ちが良かった」と語っています。特に印象的なのは、サビに入る直前のベースフレーズです。楢﨑自身も「ベースの音域としては通常考えられないような跳躍」をしていると述べており、レコーディングでは他のパートとは別に録音する必要があったほどでしたが、結果としてサビに強力なインパクトを与える重要な要素となり、演奏する上での充実感を得られたと言います。ボーカル・キーボードの藤原聡は、この曲を制作するにあたり、「もしも東京スカパラダイスオーケストラの皆さんをフィーチャリングするとしたら、どんな曲が良いだろうか」というイメージ設定があったことを明かしています。この着想が、ブラスセクションの活躍やパーカッションによる細やかなリズムプレイなど、楽曲全体のサウンドデザインに大きく影響を与えています。楽曲はボーカルから静かに始まり、最後に再びAメロに戻って締めくくられる構成です。小笹大輔（Gt）は、Aメロが3回登場する中で、特に真ん中のAメロでは自由にアレンジを試みることができ、楢﨑の演奏との良い絡みが生まれたと述べています。また、2番のギターフィルは、完成までに数十回にもわたるテイクが重ねられたことが、楽曲制作における緻密なこだわりを示しています。

チャート成績と認定

「バッドフォーミー」は、リリース直後の2018年8月13日付「Billboard Japan Download Songs」チャートで83位に初登場しました。その後、リリースから約1年が経過した2019年7月28日に、フルアルバム『Traveler』への収録が発表されると、これが追い風となりストリーミング再生回数が顕著に増加しました。その結果、同年8月19日付「Billboard Japan Streaming Songs」チャートに、配信リリースから1年を経て初めてチャートインを果たしました。アルバム発売直後にはさらに再生数を伸ばし、10月21日付の同チャートで最高位となる23位を記録しました。また、楽曲の人気は「Billboard Japan Hot 100」総合チャートへの初チャートインにも繋がりました。Apple Musicが発表した「2020年トップソング100（日本）」では84位にランクインするなど、長期にわたってリスナーに支持されました。

2021年9月には、日本レコード協会（RIAJ）によって、ストリーミング再生回数が5000万回を突破したことを示すゴールド認定を受けています。これは、楽曲がデジタル環境で多くのリスナーに聴かれ続けた実績を示すものです。

収録アルバム

『Stand By You EP』 (2018年)
『Traveler』 (2019年)

タイアップ

* テレビ大阪・BSジャパン 真夜中ドラマJ『グッド・バイ』主題歌

「バッドフォーミー」は、ドラマとの強い結びつきから生まれ、メンバーの音楽的探求心が込められたサウンド、そして配信から時間をかけてリスナーに浸透し、チャートアクションや認定という形でその成功を収めた、Official髭男dismの楽曲群の中でも特筆すべき一曲と言えるでしょう。

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